写真●左から日本医療政策機構の近藤正晃ジェームス副代表理事、泉睦会の石川敏一会長、米インテルのルイス・バーンズ 副社長兼デジタルヘルス事業本部長、インテルの吉田和正共同社長
写真●左から日本医療政策機構の近藤正晃ジェームス副代表理事、泉睦会の石川敏一会長、米インテルのルイス・バーンズ 副社長兼デジタルヘルス事業本部長、インテルの吉田和正共同社長
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 インテルと日本医療政策機構は、患者会の活動を支援するための取り組みを始める。2008年2月14日に発表した。患者会のWebサイト構築を援助したり、操作感を高めたPCを提供したりすることで、患者同士の意見交換や情報流通を促進する。最終的には、患者の実情や意見を反映した医療政策につなげたいとしている。

 日本医療政策機構は医療の調査研究と政策提言を目的とした特定非営利活動法人。今回インテルと日本医療政策機構が支援の対象とするのは、泉睦会など5つの患者会。合計25台のPCを無償で配布し、患者会の活動に利用してもらう。患者会とは、患者同士の相互支援を目的とした団体である。国内の総数は不明だが、Webサイトを持つ患者会は1500ほどあるという。

 脳卒中の患者による患者会である泉睦会の石川敏一会長は、今回の支援を歓迎するコメントを発した。「(病気により一定の障害を抱えた)患者も、社会に参加して役割を果たしたいという意欲を持った人は多くいる。患者同士のコミュニケーションはもちろん、患者自身が社会に情報発信したり、一定の仕事をこなしたりしていく上で、ITは非常に有効な道具だ」。

 日本医療政策機構の近藤正晃ジェームス副代表理事は「今回の取り組みは患者主導型の医療を実現するための重要な一歩」と強調する。「患者会の情報発信を強化することで、医療政策に患者の声がより反映されやすくなる」(近藤氏)。

 一方のインテルは、事業の柱として育てようとしている医療IT分野の施策の1つとして、今回の支援を位置づけている。特に今回はPCのユーザビリティや利用スタイルなどを検証する。提供するPCにはインテルが開発したユーザービリティを高めるためのソフト「アラカイネット」を搭載する。米インテルで医療IT事業を担当するルイス・バーンズ 副社長兼デジタルヘルス事業本部長は、「医療が世界レベルで重要な問題になりつつある。ITで支援できることはたくさんある」と事業の社会的な意義を強調する。

 インテルは医療の現場におけるIT機器や情報システムの有効性について、約20カ国で実証実験を進めている。これまでの実験を通して、臨床医の業務満足度は62%向上、患者への対応時間は85%アップ、患者のバイタル・データ(血圧などの生体情報)の計測精度は25%改善したことが確認できたという。