米Googleは2008年2月第3週,スペインのバルセロナで開催中の展示会Mobile World Congress 2008(MWC2008)において,ハードウエア・パートナとともに携帯電話機向けソフトウエア基盤「Android」ベースの試作スマートフォンを初めて披露した。英ARM,米Marvell,NEC,米QUALCOMM,伊仏合弁のST Microelectronics,米Texas Instruments(TI)など,いずれもAndroid向けの各種ハードウエア部品を製造している企業が試作機をデモンストレーションし,見学者にGoogleのモバイル・プラットフォームの一端を紹介した(関連記事:【MWC2008】動くAndroidをデモ,NECが携帯電話開発キット上で)。

 デモンストレーションされた端末はまだ試作レベルだが,米Appleの「iPhone」とカナダResearch in Motion(RIM)の「Blackberry」のあいだをとったようなハードウエアで,大きな画面とハードウエア・キーボードを備えている。もっとも,注目点は当然ソフトウエアだ。簡単で操作しやすく,パソコンと同じようにWebブラウジングが行える。Androidの設計情報は公開されているため,市場で革新や競争が期待できる。AppleがiPhoneで独占的な戦略を選んだのと対照的に,Googleは多くのハードウエア・メーカーに多種多様なAndroid端末を提供させる予定だ。最終的には,あらゆる携帯電話キャリアでAndroid端末が利用可能となる。

 Androidのデモンストレーションに関する速報は好意的であり,業界の専門家はAndroidによって携帯電話機よりもずっとパソコンに近い使い方の端末を迅速に立ち上げられると考え,勇気づけられたようだ。例えば,TIは「Androidの設計がオープンであるため,当社製プロセサ上でAndroidを動かすのに1週間もかからなかった」とした。さらに携帯電話キャリアは,これまで端末の市場投入に18カ月かけていたが,Android採用で6カ月に短縮できると見込む。同業界では,商品化に時間のかかることが以前から弱点とされてきた。

 Googleとパートナ企業は具体的なリリース計画をまだ示していないが,業界アナリストらは2008年中に最初のAndroid対応ハードウエアが登場するとみている。ホリデーシーズンには様々なAndroid端末が溢れるだろう。