英ピコチップが「Mobile World Congress 2008」の会場において,ソフトバンク仕様のフェムトセル基地局のリファレンス・デザイン・ボードを展示している。
フェムトセルとは,家庭に設置可能な超小型基地局(解説記事)。これをADSLやFTTH網につなぎインターネット通信事業者網経由で携帯電話網に接続する。通信事業者としては,ブロードバンド回線にトラフィックを逃がすことで,屋外基地局のキャパシティを追加することなく,端末収容の容量を拡大できる。一方,ユーザーにとっては通話やデータ通信を安価に利用できる可能性が広がる。
ソフトバンク・グループはかねてより,ADSL,無線LAN,VoIPを搭載したYahoo! BBのトリオモデムに,W-CDMAやHSPA(high speed packet access)の機能を追加したいとしてきた。展示しているボードはこうした仕様を十分に満たしている。具体的には一つのボード上にHSPA,無線LAN,イーサネットのハブ,ADSLモデムを搭載するというもの。これを小型化すればそのままソフトバンクが思い描くフェムトセルが完成するわけだ。
HSPAでの通信も有線を使ったエミュレーションであったが,リファレンス・デザイン・ボードは実際に動作していた。
同社のルパート・ベインズ マケーティング部長は「ソフトバンクは2008年第1四半期にテストを始め,第2四半期に一部地域でフェムトのサービス開始。第3四半期に全国でのサービスを拡大し,一気に勝負をかけると聞いている」という。