写真●ICT成長力懇談会の第1回会合の様子
写真●ICT成長力懇談会の第1回会合の様子
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 総務省は2008年2月12日,ICT(information and communication technology)の活用で日本の経済成長力を強化する戦略を議論する「ICT成長力懇談会」の第1回会合を開催した(写真)。同懇談会を主催する増田寛也・総務大臣は冒頭であいさつし,「ICTは我が国の成長をけん引していく力を持っている。そのための具体的な施策を議論していただき,我が国の経済成長につなげていきたい」と抱負を述べた。

 懇談会の背景には,日本の国際競争力の低下という問題意識がある。国際競争力の評価は様々な調査機関が実施しているが,日本の評価は軒並み低い。1990年前後にトップクラスだった日本の国際競争力は2000年にかけて大きく低下。2000年以降はゆるやかに回復傾向にあったが,最近は再び低下している。

 例えばスイスの国際経営開発研究所(IMD)の評価によると,日本の国際競争力は1992年まではトップを占めていたが,2007年は24位まで低迷している(順位は主要先進国を対象)。アジア地域だけで見ても順位が低下しており,日本の存在感は薄まる一方だ。

 国内に目を向けると,地域間格差の問題が深刻になっている。地方部の人口が減少しており,東京や名古屋,大阪の三大都市圏への転入が進んでいる。三大都市圏は1996年以降12年連続で人口の転入超が続いているという。所得格差や情報格差も都市部と地方部で拡大しつつある。

 こうした課題を情報通信政策の観点から解決するための戦略を,ICT成長力懇談会で議論する。ブロードバンドの世帯カバー率や携帯電話のサービス・エリアといった日本の情報通信基盤は既に世界最高水準に達している。この情報通信基盤の利活用を促進することで,経済成長力の強化と地域の活性化につなげる考えだ。

 懇談会は学識経験者など11人で構成し,座長は野村総合研究所の村上輝康・理事長が務める。月2回程度の頻度で会合を開き,6月に最終報告書案をまとめる予定である。懇談会の検討内容は「政府の中枢に反映していく」(増田総務大臣)。政府の経済財政諮問会議やIT戦略本部などに提案し,民・産・学・官が連携した“オール・ジャパン”での施策展開を図っていくという。

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