Yahoo!設立者兼CEOのJerry Yang氏は2008年2月6日(米国時間),全従業員1万4000人にあてたメールで「米Microsoftによる乗っ取りを回避するため,当社の幹部はあらゆる手段を講じていく」と約束した。MicrosoftがYahoo!に対する446億ドル規模の敵対的株式公開買い付けを発表してから,まだ1週間もたっていない。ここ数年Microsoftは,インターネット市場大手の米Googleに苦戦していた。

 Yang氏はメールで「当社の役員会は,可能性のある様々な代替戦略を,複合的な発展という面から熟考している」と書いた。「この数日ではっきり分かったのは,当社を心配してくれる人が大勢いるということだ。多くの従業員やそのほかの友人,シリコンバレーで働く人々,そして全世界の方々から,『Yahoo!とYahoo!の株主にとって最良の道を選びなさい』というメッセージを受け取った」(Yang氏のメール)。

 MicrosoftのYahoo!買収提案に対するIT業界の反応は様々だ。ただし「Googleと十分な競争を展開できるライバルが少なくとも1社あった方が,Googleにとって健全な市場環境となる」と考える人が大勢を占めた。現在Googleは,最も重要な検索/広告分野でオンライン市場を支配している。明らかにGoogleは,MicrosoftによるYahoo!買収を阻止,それが無理ならばせめて遅らせるつもりだ。

 Yahoo!が買収提案を拒否するのは難しいだろう。Microsoftの提示した買い取り価格はYahoo!の株価を大きく上回っており,ほとんどの株主にとって魅力的な金額となる。Yahoo!が株主により魅力的な条件を出すには,資金力のある別のパートナを見つけなければならない。そこまでの資金を出せる企業はごくわずかだ。パートナ候補としてすぐに思い浮かぶGoogleは,すでにオンライン市場の独占企業であることから,Yahoo!支援に乗り出すと,独占禁止法に触れないかどうかMicrosoft以上に厳しく検査される。規制当局がGoogleによるYahoo!支援を承認することなどまずない。

 Yang氏のメールは,「yahoos」(チーム・ヤフー)と呼ぶ従業員の気持ちを鼓舞するために送った応援メッセージという意味が大きい。「元気の出ることがたくさんあるし,よいニュースももっと入ってくる。みなさんが1人でも欠けたら,当社の成功は難しくなる。そのことをよく理解してほしい」(Yang氏のメール)。しかし「1人でも欠けたら」は言い過ぎだろう。Yahoo!は1週間前,1000人をレイオフすると発表した。