米Intelと仏伊合弁のSTMicroelectronicsは米国とスイスで現地時間2008年2月6日,業界で初めて記憶容量128Mビットの相変化メモリー(PCM:Phase Change Memory)LSI「Alverstone」(開発コード名)のサンプル出荷を始めたと発表した。携帯電話機や組み込み機器のメーカーなどに評価用として提供する。製造プロセス・ルールは90nm。ただし,量産出荷の開始時期などについては公表していない。

 また両社は,カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の国際固体素子回路会議(ISSCC)2008で,マルチレベル・セル(MLC)技術によるPCMの大容量化に関する論文を発表した。1つのメモリー・セルに複数ビットの情報を格納できるようにすることで,大容量PCMの記憶容量単価を低減できると見込む。

 PCMは,データを電気として保存するのではなく,特殊な素材の状態(相)をアモルファス状態から結晶状態に切り替えることによりデータを保存する新方式のメモリー素子。電力を供給しなくても記憶した情報を保持できる不揮発性メモリー(NVM)の一種である。現在NVMとして普及しているフラッシュ・メモリーに比べ,データ読み出し/書き込み速度が非常に速く,少ない消費電力で作動する。そのため,フラッシュ・メモリーを置き換え,高密度データ・ストレージ向けメモリーなどの応用が考えられる。

 米メディア(CNET News.com)によると,両社が論文で発表したMLC版PCMは,0と1の情報を割り当てるアモルファス状態と結晶状態に加え,2つの中間状態を再現できるようにしたもの。この中間状態にも情報を割り当てることで,単一メモリー・セルで複数ビットを表現しているという。

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