「今日,オンライン広告市場を,ある1社が支配している。MicrosoftとYahoo!が一緒になることで,消費者やパートナーのニーズをより満たす選択肢を提供できる」---。

 米Microsoftは2月1日(米国時間),米Yahoo!に対して総額446億ドルで同社を買収すると提案した旨を発表し,米Googleへの対抗心をあらわにした。

 Microsoftは米国東部時間の2月1日午前8時30分(日本時間で2月1日午後10時30分)から,CEO(Chief Executive Officer)のSteve Ballmer氏などが参加する記者会見を行った。まずBallmer氏が提案の概要を説明。「オンライン・サービスをマネタイズする(収入に変える)手段として,オンライン広告が重要になっている」と,Yahoo!買収の目的が,オンライン広告市場におけるGoogle追撃にあることを語った。

 次に,CFO(Chief Financial Officer)のChris Liddell氏が,買収の「経済効果」を説明した。Liddell氏によれば,同社とYahoo!が一緒になることには,4つの利点があるという。

 1つ目は視聴者数や広告主が増えることによって規模の経済が働くこと,2つ目は両社の優秀なエンジニアが協力することでイノベーションが加速すること,3つ目はサーバーやインフラのコストの削減を図れること,4つ目は動画や携帯電話といった分野でのイノベーションを実現できること,である。Microsoftは,買収後1年で少なくとも10億ドルのシナジー効果が見込めると主張している。

 続いて,技術部門を統括するChief Software ArchitectのRay Ozzie氏が,技術開発の視点から買収の効果を説明した。Ozzie氏はまず,「インターネット検索技術の研究開発が,ユーザー・エクスペリエンス(使い勝手)や,モバイル検索,自然言語検索など新分野にシフトしている」と指摘。研究開発を強化するために,両社の技術力を統合するべきだと主張した。

 またOzzie氏は,「人々のリレーション(関係性)に基づくソーシャル・メディアがより重要になっており,人々がメディアを見る方法が変化している。(Web上の)ソーシャル・プラットフォームが,(パソコンに変わる)情報への新しいエントリー・ポイント(入り口)になる」と説明。Yahoo!が既に実績を有しているソーシャル・ネットワーク・サービスやオンライン・サービスに対して,Microsoftが「MS Office」などのアプリケーションや「Xbox 360」のようなエンターテインメント分野で培ってきたユーザー・インターフェース技術を活かしていくべきだとも主張した。

 加えてOzzie氏は,Yahoo!が既に,Yahoo!のオンライン・サービスを活用する開発者によるネットワークを有していることを評価。サードパーティの開発者を巻き込むことで,「ソフトウエアの魔法の力を通じて,あらゆるデバイスにまたがるシームレスなユーザー体験を,両社が提供できるようになる」と主張。通信サービスから携帯電話機,広告サービスまで1社で提供しようとするGoogleと違い,サードパーティ重視のアプローチを採ることを強調した。