写真●フジクラの中村光則氏
写真●フジクラの中村光則氏
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 「地域限定のモバイルWiMAXは2008年12月には試験サービスが始まる。料金は定額で月額1500~2000円程度になるだろう」――。ITpro EXPOの「ネットワーク最前線」ブースにおいて,フジクラでモバイルWiMAX機器事業を担当する中村光則氏がモバイルWiMAXの動向を解説した(写真)。

 モバイルWiMAXを巡っては,2007年末に全国で事業展開できる免許の交付先が決定した。KDDIが出資するワイヤレスブロードバンド企画が,2009年2月末からの試験サービスを予定している。これに続き,2008年3月からは市区町村単位で事業展開できる免許の申請募集がスタートする(関連記事)。

 市区町村単位の免許は「固定系地域バンド」と呼ばれ,ケーブルテレビ(CATV)事業者や地方自治体などが免許獲得に乗り出すと予想されている。講演した中村氏が所属するフジクラは,ケーブルテレビ事業者向けのモバイルWiMAX機器を手掛ける。

 中村氏は地域バンドの動向について,「2008年に40社以上の事業者が地域バンドの免許を申請し,2009年には80~100事業者が申請する。2010年以降は200社以上の事業者がモバイルWiMAXサービスを提供することになるだろう」と予想した。

 サービス内容としては「CATV事業者の強みを生かし,既存事業との連携があるだろう。例えば,テレビ番組をモバイルWiMAXでマルチキャスト配信するなどが考えられる。地上波はワンセグがあるが,CSチャンネルはそれに相当するものがない。独自性のあるサービスになるのでは」と話した。

 すでに一部のCATV事業者はトライアルに乗り出している。「2006年12月から2007年10月まで,福井県敦賀市,岐阜県飛騨市,東京都練馬区で実証実験を行った」(中村氏)という。

 現在も新たな実証実験を進めており,「福井県敦賀市の嶺南ケーブルネットワークとは,商用サービスに向けた最終確認の試験を実施。佐賀県佐賀市では,佐賀デジタルネットワークとともにデジタルデバイド対策などを視野に入れた実験をしている。また,東京都文京区の東京ドームでは,東京ケーブルネットワークと大都市部の電波特性などを検証中だ」(中村氏)とした。

 なおフジクラは,ITpro EXPOの「ネットワーク最前線」ブースにおいて,モバイルWiMAXの動態展示を披露している(関連記事)。