写真1●Ruby作者のまつもと氏(左)とロボットクリエイターの高橋氏(右)が対談
写真1●Ruby作者のまつもと氏(左)とロボットクリエイターの高橋氏(右)が対談
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写真2●対談の冒頭では二足歩行ロボット「クロイノ」(左)と女性型ロボット「FT」も競演
写真2●対談の冒頭では二足歩行ロボット「クロイノ」(左)と女性型ロボット「FT」も競演
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 1月30日~2月1日にわたって東京ビッグサイトで開催しているITpro EXPO 2008では,ソフトウエア開発をテーマにした「X-over Development Conference」を開催している。1月31日のセッションでは,プログラミング言語Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏とロボットクリエイターの高橋智隆氏による対談が実現。「独創的な開発のために必要なものは何か」をテーマに,二人の“天才”が思いを語り合った(写真1)。

 好きなことに没頭する様子を「天才というよりは変人」と表現する両氏は,「好きになること=開発に必要な原動力」につながるという。まつもと氏は,「来年にはRubyを作り始めて15年になる。一つのソフトウエアを作り続けて15年というのは驚かれるが,プログラミング言語について考えるのが好きだからできること」と話す。一方の高橋氏も,「好きなことをしているときは,ご飯を食べるのが面倒になるほど」とその好きなことへの集中ぶりを語る。

 また,「常に好きなことを頭の片隅で考えていること」が,アイデアの創出につながるという。「日々の暮らしの中でいろいろな視点でロボットを見ていると,こんな機能があればいいなというアイデアが浮かぶ。そのアイデアを頭の隅に入れておいて,実装段階で埋め込んでいく」(高橋氏)という。まつもと氏は,「世界には数千のプログラミング言語が存在する。ほかのプログラミング言語を見るたびに,Rubyに取り入れられないかな,などと頭の片隅で考えてしまう。基本的な言語仕様以外のよいアイデアはどんどん参考にしていく」と話す。

 「大学の研究者のような最先端の研究とは違い,自分がよいと思ったアイデアだったり機能だったりするので,良くも悪くも自分本位なアイデアになってしまうことがある」(高橋氏)と話す。これに対してまつもと氏は,「仮想ユーザーが自分なので,いかにソフトウエアを気持ちよく作れるかを追求した。Rubyが受け入れられた理由の一つに仮想ユーザーが自分だったことも加味しているのではないか」と振り返った。

 対談の冒頭では,高橋氏の作成した体長35センチほどの二足歩行ロボット「クロイノ」と,女性型ロボット「FT」によるデモンストレーションが実演された(写真2)。自ら立ち上がってお辞儀したりするロボットに対して,100人を超える聴講者で満席となった会場からは,驚きの声と暖かい拍手が送られていた。