「多くのユーザーが仮想化に向いていると口をそろえるのはWebサーバーだ」。
ITpro EXPO 2008の「仮想化Special」で,基調講演に登壇した日経SYSTEMSの森山徹副編集長はこのように指摘した。講演タイトルは「成熟期迎える仮想化エンタープライズ」。講演では,20社を超えるケーススタディから洗い出した,サーバーを仮想化する際のノウハウや注意点を解説した。その一つが,仮想サーバーの向き不向きである。
「VMWare」や「Xen」を利用した仮想サーバーは,複数のシステムでCPUやメモリーを共有することが多いため,「オンライン・レスポンスが求められる」「CPUやメモリーなどのリソースを大量に使う」といった性能要件が厳しいシステム用途にはあまり向いていない。
Webサーバーにも性能は求められるが,スケールアウト構成で性能を確保できる点が,仮想化との相性の良さにつながるのだという。
「Webサーバーの場合は,仮想化してもゲストOSの単位でスケールアウトしていけるので,負荷分散構成を保ちながら,仮想環境に集約することができる」(森山副編集長)。
スケールアウトが必要になったとき,わざわざ新しいサーバーを用意しなくても設定変更だけでリソースを増減できるのがサーバー仮想化のメリットの一つ。森山副編集長は,負荷に応じてWebサーバーの数を自動的に変更している,次のような事例も紹介した。
「ロードバランサがゲストOS上のWebサーバーの応答時間を把握する。応答時間がしきい値を下回ると,ロードバランサが定義ファイルを書き換えて,Webサーバーをもう一台,立ち上げる。負荷が下がってきたら,Webサーバーの数を減らす」(森山副編集長)。