写真●米Microsoftシニア・テクニカル・プロダクト・マネージャPeter Fitzsimon氏
写真●米Microsoftシニア・テクニカル・プロダクト・マネージャPeter Fitzsimon氏
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 「現在,サーバー・ハードウエアを新規調達するには6週間かかるが,仮想化機能を使えばその時間を6分に短縮できる。Windows Server 2008のHyper-Vによって,より動的にサーバーを管理できるダイナミック・データセンターが実現する」--米MicrosoftでHyper-Vの開発を担当するシニア・テクニカル・プロダクト・マネージャのPeter Fitzsimon氏は2008年1月30日,ITproの講演でこう強調した。

 Hyper-Vは,Windows Server 2008の完成から180日以内に提供される予定のハイパーバイザー・ベースの仮想化機能である。ハイパーバイザーはサイズが1Mバイト程度という極めて軽量のプログラムで,OSとハードウエアの間に入って,複数のOSを1台のハードウエア上で稼働させる役割を果たす。Fitzsimon氏は「Hyper-Vは非常に動作が軽いので,従来の『Virtual Server』のようなOS上で稼働する仮想化サーバーにおける最大の問題になっていた,仮想化のオーバーヘッドを解消できる」と語る。

 Windows Server 2008は2008年2月にも出荷される予定で,その時点の製品パッケージには,Hyper-Vのベータ版が搭載される予定だ。Fitzsimon氏は「仮想化は,これからのサーバー運用の基本となる技術。Hyper-Vのベータ版を使って,ぜひ仮想化機能をテストしてほしい」と訴えた。

仮想化でサーバー運用のスピードが上がる

 Fitzsimon氏は仮想化の利点を,(1)データセンターにおける消費電力やラックのスペースを削減できること,(2)複数の物理サーバーを設定を変えずに1台のサーバーに集約できること,(3)サーバー・プロビジョニング(展開)を高速化できること,(4)サーバー運用の高可用性を実現できること,(5)テストや開発が容易になること--とまとめる。

 特に強調したのは,冒頭にも触れたサーバー・プロビジョニングに関わる問題だ。「現在,新しいサーバーを展開(プロビジョニング)しようと思っても,ハードウエアの調達(購入)に6週間ほどの時間がかかってしまう。しかし仮想化技術を使えば,新しいサーバーをわずか6分で調達できる」(Fitzsimon氏)と強調した。

 また開発者にとっても,仮想化のメリットは多いという。Fitzsimon氏は,「この中に開発者の方も多いと思うが,今までテストや開発をするのに十分なハードウエアが供給された経験がある方は皆無だろう。仮想化を使えば,開発者が好きなだけテストや開発用の環境を構築できる」と訴えた。