日本における組織内違法コピーの情報提供数の推移(BSAの発表スライドから引用)
日本における組織内違法コピーの情報提供数の推移(BSAの発表スライドから引用)
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情報提供数が多かった上位3業界(BSAの発表スライドから引用)
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 ソフトウエアメーカーなどで組織される非営利団体「ビジネス ソフトウェア アライアンス」(BSA)は2008年1月30日、2007年の活動報告と2008年の活動方針を発表した。それによると、2007年中に寄せられたビジネスソフトの違法コピーに関する情報は506件で、過去最多だったという。

 BSAは、ソフトウエア著作権といった知的財産権の保護強化などを目的に、1988年に米国で設立された団体。参加メーカーは2008年1月時点で40社。アップル、マイクロソフト、インテル、IBMといった大手企業が名を連ねる。世界で80以上の国と地域に拠点を持ち、活動している。

 日本では、1992年に活動を開始。1995年には、企業/組織での違法コピーの利用報告を受け付ける「違法コピーホットライン」を開設した。前述の情報提供件数は、主にWebやメール、電話を通じて同ホットラインに寄せられたもの。

 情報提供者は、その企業/組織に在籍している人物、あるいは過去に在籍していた人物。いわゆる「内部告発」である。情報提供の対象となるのはビジネスソフトのみ。音楽や映画などのソフトやゲームソフトなどは対象外。

 BSAによると、国内において、2007年1月1日から同年12月31日までに寄せられた内部告発は、506件で過去最多。2006年の376件から大きく増えている(34%増)。この理由について、BSA日本担当顧問を務める弁護士の石原修氏は、「報道などにより、経営者よりも従業員の方が、コンプライアンス(法令順守)の重要性を認識しているためではないか」と述べる。経営者が違法コピーを使わせることに疑問を感じて、従業員(元従業員)が内部告発をしているケースが増えていると考えられる。

 加えて石原氏は、内部告発をした人物を保護するために2006年4月に施行された「公益通報者保護法」も効果があったとみる。

 情報提供が多かった業界は、「ソフトウエア関連」が101件で最多。次いで、「広告出版関連」が41件、「土木・建設関連」が22件。これら上位3業界で、情報提供総数のおよそ3割を占めた。