情報通信審議会は2008年1月29日,NTT東西が2007年度中に稼働させる予定の次世代ネットワーク(NGN)の接続ルールの在り方について答申案を公表した。2月28日を期限に意見募集を実施し,その結果を踏まえて3月中に答申する予定である。

 答申案では,NTT東西が構築するNGNについて,他の事業者に貸し出す接続料金や接続条件などの作成・公表義務を課す「第一種指定電気通信設備」として指定することが適当だとした。

 理由は,NTT東西のFTTH回線に加入したユーザーに対して,NTT東西以外の事業者がサービスを提供するには,NGNへの相互接続が不可欠になるため,とした。

 また,これまで指定設備ではなかった0AB-J番号(一般固定電話の番号)が使えるIP電話サービス「ひかり電話」用に構築したひかり電話網についても指定設備とするとした。2004年のサービス開始時の判断では,0AB-J番号を使えるIP電話そのものが19万件と少なかったため,市場動向の推移を検証した上で再検討することにしていた。今回見直した結果,「0AB-J番号のIP電話の番号数が500万件に達し,そのうち75%のシェアをNTT東西が占めている」ため,今後のNTT東西以外の通信事業者にとっても相互接続が不可欠なサービスになる,と判断した。

08年度までは暫定接続料で様子見

 この答申案で指定設備とされたNGNやひかり電話網には,今後急速に需要が拡大し,提供コストも年々下がっていく可能性がある。このため,接続料の算定方法としては,将来予測される需要を基に,一定期間,低減していく予想原価の平均値を接続料とする「将来原価方式」を採用することとした。この方式は,すでにFTTH回線の接続料などを算定する方式として採用されている。

 ただし現状では,NGNはまだ稼働していない。このため情通審としても,料金を算定する基となる,コスト要因を分析し,検証することができない。こうしたことから,将来原価方式の採用は「遅くとも2009年度から」とし,当面は暫定的な接続料を採用することが付記された。

 NGNの暫定接続料は,現行のフレッツサービスを提供する地域IP網と同一の接続料とし,ひかり電話は,事業者の規模やニーズによって相対取引で決定している現行の接続料を適用するとした。NTT東西が2007年10月25日に公表した,相互接続の条件をそのまま追認する形となった。相対取引を認める接続料は過去に例はない。意見募集では,NTT東西以外の通信事業者らの反発が寄せられそうだ。

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