写真1 左からNTTドコモの夏野剛執行役員,米グーグルのオミッド・コーデスタニ上級副社長,ドコモの辻村清行取締役常務執行役員,グーグル日本法人の村上憲郎社長
写真1 左からNTTドコモの夏野剛執行役員,米グーグルのオミッド・コーデスタニ上級副社長,ドコモの辻村清行取締役常務執行役員,グーグル日本法人の村上憲郎社長
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 NTTドコモと米グーグルは2008年1月24日,携帯電話のサービスに関して業務提携した。これを受けてドコモは,同社の端末やサービスにグーグルが提供するサービスを取り込むとともに,グーグルの携帯電話開発プラットフォーム「Android」を搭載した端末開発に積極的に取り組む。

 今回の提携の第1弾となるのが,iモード・メニューのトップ画面に検索窓を付けるというもの。2008年春にも開始する。iモードの公式サイトのほか,その他のいわゆる勝手サイトやパソコン向けサイトを一括検索できるようにする。公式サイトは「goo」のエンジンを使って検索するが,勝手サイトやパソコン向けサイトの検索にはグーグルのエンジンを利用。検索結果を一括表示させる。検索結果には,グーグルの広告配信プラットフォーム「AdWords」を使って,広告も表示する。

 さらに,グーグルがパソコン向けに提供している各種サービスをiモード対応携帯電話に搭載していく。既に複数の機種で地図サービス「Google Maps」を提供しているが,これを今後発売するiモード端末に標準搭載する。提供中の端末についても,売れ筋の端末にはソフトウエア・アップグレードで搭載することを考えているという。加えて,インターネット・メール・サービス「Gmail」や動画共有サービス「YouTube」,画像保存サービス「Picasa」などへの対応も検討する。NTTドコモマルチメディアサービス部長の夏野剛執行役員は「2008年内には2~3のアプリケーションに対応させたい」という。

 Androidをベースにした端末開発についても検討する。高機能で低コストな端末を提供するのが狙いだ。夏野執行役員は,「Androidの携帯電話のプロトタイプを見たが,高くないハードウエアのスペックでアプリケーションがストレスなく動くのに驚いた。こうしたソフトウエア開発のノウハウを取り込みたい」という。もちろん,「Androidの端末でもiモードを利用できるようにすることを検討している」(同)。ただし,実際の提供時期については未定だ。

提携の狙いは収益増と顧客囲い込み

 今回のNTTドコモのグーグルとの提携の狙いは三つある。

 第1の狙いはiモード・サービス上での広告収入を拡大すること。NTTドコモ プロダクト&サービス本部長の辻村清行取締役常務執行役員は,「グーグルや広告会社と広告収入をシェアする。早期に広告での売り上げ100億円を達成したい」と意気込みを語る。そのために「NTTドコモの広告子会社ディーツーコミュニケーションズに米グーグルの出資を仰ぎ,新しいモバイル・マーケティング・サービスを検討していく」。

 第2の狙いは顧客の囲い込み。「パソコンで提供されているグーグルのアプリケーションを携帯電話に持ってくることで,サービスの価値を上げる」(辻村取締役常務執行役員)。

 第3の狙いは,データ通信のトラフィック増による収益の拡大。「今回の提携などによって,パケホーダイの契約者数をもっと増やしたい」(夏野執行役員)という。現在,パケホーダイの契約者はFOMAユーザーの30%前後である。