写真1 ICタグ実証実験の走行ルート 経済産業省の発表資料より
写真1 ICタグ実証実験の走行ルート 経済産業省の発表資料より
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写真2 ICタグを読み取っているところ ホーチミンの東芝工場で読んでいるところ
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 経済産業省と国土交通省は、インドシナ半島での物流高度化に向けた無線ICタグの実証実験をこのほど終えた。2007年11月2日から2008年1月18日まで、計3回にわたり、タイとラオス、ベトナムを結ぶメコン地域の「東西経済回廊」を使って陸路輸送する実験で、貨物にUHF帯対応ICタグを取り付けて物流過程をトレースした。「ラオスでUHF帯ICタグを使うのは恐らく初めて、ベトナムでは2回目といった状況で、実際に電波を飛ばして貨物をトレースできたことは大きな成果」と実験に参加した日本パレットレンタル情報本部JPRイノベーションセンターの吉田拓馬氏は言う。

 タイやベトナムには多くの日本企業が生産拠点を設けているが、これまで両国間の物流は、時間のかかる海路か、コストが高い空路しか使えなかった。トラック輸送による陸路を整備することで日本企業を支援できるとして、日本政府はODAを通じて東西経済回廊の整備を進めている。今回は、この陸路でのトラックの走行試験から、ICタグやGPSの利用実験までを行った。ICタグについては、入出荷検品の効率化や物流過程の見える化を狙って、その実用性をチェックした。

 ICタグ実験では、東芝とヤマハ発動機がそれぞれ冷蔵庫と二輪自動車の部品を輸送した。東芝はタイ・バンコクからベトナム・ホーチミン(約2200km)、ヤマハ発動機はバンコクからベトナム・ハノイ(約1600km)へ部品を運んだ(写真1)。

 ICタグは、貨物を運ぶパレットに取り付け、台車式のリーダーで読み取った。ICタグを読み取ったのは、バンコクとホーチミン、ハノイの工場での入出荷時と、ラオス・サワナキェットでの輸送途中である(写真2)。ラオスでは「実際の貨物が届いたその日に、ICタグ実験の免許許可証がラオス政府から届くなど綱渡りの状態だったが、無事、ICタグを読み取れた」(日本パレットレンタルの吉田氏)という。読み取ったデータは携帯電話を使って、インターネット経由で、日本パレットレンタルのパレット追跡システム「epal」に送信。貨物の輸送経路がリアルタイムに分かるようにした。

 トラックの輸送業者としては、佐川グローバルロジスティクスと日本通運が参加。ICタグの機器はマイティカードが用意した。インドシナで使える周波数は920M~925MHzだったため、米国の製品をチューニングして利用した。