日本通信は2008年1月23日,NTTドコモの携帯電話を使ってiモード・メールの代わりに米アップルが提供するメール・サービス「.Macメール」を利用できるサービス「ConnectMail for .Mac Mail」を2月1日から開始すると発表した(写真1)。利用料は年間4800円。パケット通信料や.Macの利用料は4800円の中には含まれず,別途それぞれNTTドコモとアップルに支払う必要がある。
仕組みは,同社が2007年11月に発表した,NTTドコモの携帯電話を使ってiモード・メールの代わりに社内メールを利用できる法人ユーザー向けの「ケータイPC化サービス」と同じ(関連記事)。今回のConnectMailは,NTTドコモの「iモード移動無線装置接続用パケット交換機」と日本通信が用意したシステム「J-Plat」を相互接続することで実現した。MVNO(仮想移動体通信事業者)の一形態と言える。
J-Platは利用を許可する端末の認証のほか,NTTドコモとアップルのサービスをつなぐための通信プロトコルの変換,文字コードの変換などを行うという。ユーザーはiモードの接続先設定を「日本通信」に変更することで,日本通信のネットワークを介してアップルのメール・サーバーに接続する(写真2)。
ConnectMailは,.Macメールをiモード・メールと同じように扱える。携帯から発信するメール・アドレスが.Macのものに変わるほか,新着メールがプッシュで携帯電話に配信される。デコメールの利用も可能だ。なお現状ではConnectMailは,NTTドコモのパケット定額プランの対象外に当たるが,近いうちに対象とする方向で話し合いが進んでいるという
同社の福田尚久常務取締役CFO(写真3)は,「これまでの携帯電話は垂直統合で利用できるサービスが決まっていたためユーザーは不満を持っていた。これからはユーザーが使いたいサービスが使えるようになる」と説明。.Mac以外にも,プロバイダや大学のメール・アドレスなども利用できるようにしていく考えを見せた。さらにはNTTドコモの携帯電話のほか,KDDIやソフトバンクモバイル,ウィルコムの端末においても同様のサービスを提供する考えという。「話し合いは進めており,既に快諾してもらった通信事業者もある」(福田CFO)。
データ通信でも相互接続を求める
今回のサービスは,NTTドコモが2002年11月に開放したiモード用パケット網の相互接続インタフェースを利用することで実現した(関連記事)。これに加えて日本通信は,NTTドコモに対してデータ通信サービスの事業者間相互接続も求めている(関連記事)。この件に関しては両社の協議が難航し,2007年12月に総務大臣による裁定が出ている(関連記事)。
データ通信サービスで事業者間相互接続を実現できれば,「MVNOが独自に用意した端末を利用しやすくなったり,決済機能を利用した独自サービスを展開しやすくなる」(福田CFO)。同社としては今後も,事業者間相互接続の形態を中心に,MVNOの可能性を追求していきたいという。