2007年大会で金メダルを獲得した神奈川県立磯子工業高校チームがデモを実演
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赤外線センサーをたどってコースを走破したロボットが缶を倒す
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2008年横浜大会のコース説明。小学生、中学生、高校生で課題は異なる
2008年横浜大会のコース説明。小学生、中学生、高校生で課題は異なる
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 北京五輪が開催される2008年、スポーツとはちょっと違う熱戦が国内で繰り広げられそうだ。小中学生や高校生が参加するロボットの国際競技大会WRO(World Robot Olympiad)の次回開催地が神奈川県・横浜市に決定したのだ。同大会の日本開催は初めて。場所は大型展示場のパシフィコ横浜。2008年11月1日~2日に開催する。関連するイベントとして、参加各国の教諭がロボットの指導法を発表するロボット教育国際シンポジウムも新たに開かれることになった。

 WROは小中学生や高校生がロボットを使い、障害物を乗り越える、缶を押し倒す、ピンポン玉を運ぶといった課題に挑戦する競技大会。生徒はアジアを中心として世界各国から集まる。競技にはパソコンで動作をプログラミングできる「レゴ マインドストーム」を使う。ロボットは遠隔操作ではなく、自律動作をさせなくてはいけない。

 大会は2004年にシンガポール、2005年にはタイ・バンコク、2006年に中国・南寧、2007年には台湾・台北で開催された。参加人数は徐々に増えており、2007年の台湾大会では予選を含めると23カ国・地域、9640チーム、約2万人以上が参加した。2007年大会では、神奈川県立磯子工業高校チームが金メダルを獲得するなど、日本チームも奮闘している。

 大会の目的は、競技へ参加することで生徒の創造性や問題解決力を育てるとともに、国際交流を深めること。WRO2008横浜大会組織委員会 顧問の広瀬勇二氏(PFU常任顧問)は、1月22日の会見で挨拶し「日本はものづくり重視という文化がある。その文化を担う次世代の科学者、技術者を育てたい」と大会への期待を語った。

 新たな試みとして、7月31日にはロボット教育の国際シンポジウムを開く。各国の教諭がどのようなロボット教育をしているのかをプレゼンする。大会組織委員会の副委員長で埼玉大学教育学部教授の山本利一氏は「新しい学習指導要領では、すべての中学生に“プログラミングによる計測制御”という項目が加わる。今後はロボットの教育方法がますます重要視される。いままでWROに参加してきた方々の取り組みが、ロボット教育の標準になっていくだろう」とシンポジウムの意義を強調した。

 2008年11月3日には、テーマに沿って参加者がロボットを作り、優秀な作品を表彰するエキシビジョン大会も開催する。開催地は福井県・勝山市の福井県立恐竜博物館。テーマは「地球環境保護」。参加者が自由にロボットを組み立て、環境保護の問題をどう解決できるのかを表現する。