メディネットの院内情報サービスを利用している病院
メディネットの院内情報サービスを利用している病院
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 風邪をひいたり、怪我をした際に病院へ行くと長時間待たされることが多い。最近ではパソコンや携帯電話からインターネット経由で予約できるようにしたり、銀行の窓口と同じように整理番号を書いた紙を発券するシステムを取り入れたりする病院もあるが、待ち時間を無くすことは難しい。急な病や怪我といった不測の事態に対して、事前に予約することなどできないからだ。

 こうしたなか、診察の待ち時間を有効に利用しようという動きが広がっている。待合室にはたいていテレビが置かれている。このテレビを使い、「院長の挨拶」「受け付け時間・休診日」「病院内の案内図」「担当医師のスケジュール」「人間ドックの案内」といった情報を数秒間ずつ静止画や動画などで配信するというもの。その中身は病院に関する情報のほか、インフルエンザや花粉症の対策といった病気の予防に関するものから、病院スタッフや患者による川柳・俳句の投稿まで様々。ニュースや天気予報も併せて流す。

 専用テレビの設置からこれらのコンテンツの制作まで請け負っている、メディネット(大阪府高槻市)の前平秀志専務は「2007年4月に病院による広告の規制が緩和される法改正があった。各病院は差別化を図るため積極的に情報を発信したいが、広報専任のスタッフは大きな病院でも少ない。そのため、テレビを使った情報発信サービスを導入している」と話す。同社は既に全国の500以上の医療法人に対し、テレビを使った院内情報発信サービスを提供している。

 さらにメディネットは昨年10月、タッチパネル機能を持つディスプレーを使って、患者から情報収集するサービスを新たにに加えた。患者は待ち時間に画面に表示されるアンケートに回答する。

 アンケートの項目は病院の施設やサービスに関するものが中心。患者の不満や要望を定期的に吸い上げる。ある大病院ではアンケート結果を基に改善委員会を組織して課題の解決に当たり、その成果を前述の専用テレビでフィードバックしている。こうしたサービスを病院が導入するのは、経営環境が厳しくなるなかで、PDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回して患者の満足度向上につなげようという意識が強くなっているからだと見られる。