日本公認会計士協会(JICPA)は2008年1月21日、IT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」の確定版を公開した。JICPAは草案を07年11月8日に公開し、07年12月14日まで意見を募集していた。

 この「ITに係る内部統制の枠組み」は、基本的には財務諸表監査におけるIT統制の整備・監査について述べている。だが、日本版SOX法(J-SOX)対応の実務上の指針である「実施基準」を意識した内容になっていることから、J-SOX対応におけるIT統制整備の参考書として注目されている文書だ。

 草案から確定版への変更点の1つが、「自動化された業務処理統制」の考え方だ。確定版では(1)自動化された会計処理手続きと、(2)システムから出力した情報のうち、手作業で実施する業務処理統制に利用する情報を、「自動化された業務処理統制に入る」と明記した。

 (1)は仕訳や集計などをシステムが自動的に行う手続きを指し、(2)は「取引可能額」といった一定の基準を超える取引リストなどをシステムから出力して利用する場合を指している。草案では(1)(2)とも「業務処理処理統制ではないが、対象となるシステムについてIT全般統制の整備が必要」との趣旨の説明がされていた。

 もう1つの大きな変更点が、IT全般統制に変更があった場合の有効性評価の頻度にかかわる記述である。確定版ではIT全般統制について「有効性の評価は毎期実施することが必要になる」と明記した。草案では「毎期実施する必要な場合が多い」とするにとどまっていた。

 JICPAは「ITに係る内部統制の枠組み」を補足するものとして07年12月17日に別文書「自動化された業務処理統制等に関する評価手続き」の草案を公開。08年1月11日まで意見を募集していた。1~2月中には全般統制についての草案の公開も予定している。