富士通は2008年1月21日、2008年3月をメドにLSI事業部門を分社すると発表した。経営効率を向上し、赤字化しているLSI事業を立て直す狙いがある。分社後の新会社の社名、従業員数などは未定。

 近年、携帯電話機などデジタル家電のライフサイクルが短命化していることを受け、LSI事業者は開発スピードを高めることで競争力の向上を図っている。富士通の今回の分社も、意思決定のスピードを上げ、開発効率を高める狙いがある。

 富士通の06年度(07年3月期)におけるLSI事業の売上高は4735億円だった。近年は価格競争により収益が悪化しており、07年度上期には約60億円の営業赤字を計上していた。

 新会社には富士通本体のLSI事業部門のほか、「富士通エレクトロニクス、富士通メディアデバイスなど、デバイス関連の未上場子会社が合流する可能性がある」(富士通広報)。同じデバイス関連でも、富士通コンポーネント、新光電気工業といった上場子会社は新会社には加わらない。

 今回富士通は、これまであきる野テクノロジセンターで行ってきた90ナノメートル世代以降のLSI開発を三重工場に一本化することも発表した。「あきる野テクノロジセンターでは200ミリメートルのシリコン・ウエハーしか製造できないが、300ミリメートルのシリコン・ウエハーが製造可能な三重工場にLSIの生産を集中することで、コスト効率を上げる」(富士通広報)ことが狙いだ。