2005年12月にみずほ証券が株の誤発注で出した損失を巡って東京証券取引所を訴えた裁判の第7回口頭弁論が2008年1月18日、東京地方裁判所で開かれた。原告のみずほ証券側は、「事実解明には不具合のあったモジュールの設計書とソースコードが不可欠である」とし、改めて設計書とソースコードの提出を求めたが、裁判長は「訴訟の判断にシステムの詳細な情報は必要ない」とし、東証側に提出を強く勧告することないとした。みずほ証券側は今後、「モジュールの詳細情報の必要性について、改めて書面を提出する」としている。

 前回みずほ証券側が指摘した、テストの障害件数などに関して東証が外部に出した資料と東証側が今回の裁判で提出した資料との間に齟齬がある件については、東証側が準備書面を提出した。しかし、その内容についてみずほ証券側は、「考えられる」「推測される」などの表現が多用され、「抽象的で無責任な主張である」(原告訴訟代理人の岩倉正和弁護士)とし、十分な回答をするよう11日付で求釈明を申し立てた。

 裁判自体は、東証側が誤発注について「どこまでの事実を認識していたのか」がポイントになるもようだ。みずほ証券による発注から取り消しまで、時系列に事実関係を確認していく。特に東証側がどの時点で誤発注と認識したのかが重要になる。発注の数量だけを認識していたのか、金額まで認識したのか、「誤発注の根拠事実に関する認識の強弱」について、原告、被告双方が情報を補足していくことになる。次回口頭弁論は、2008年3月14日の予定だ。

 この裁判は、2005年12月にジェイコム株の誤発注により400億円を超える損失を出したみずほ証券が、誤発注を取り消せなかったのは東証のシステムの不具合が原因だとして、東証に約415億円の損害賠償を求めたもの。2006年12月の裁判開始から1年以上経過している。