写真●光ファイバの1分岐単位の貸し出しを主張するソフトバンクテレコムの弓削哲也専務取締役専務執行役員兼CTO,研究所長兼渉外部担当
写真●光ファイバの1分岐単位の貸し出しを主張するソフトバンクテレコムの弓削哲也専務取締役専務執行役員兼CTO,研究所長兼渉外部担当
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 ソフトバンクBB・ソフトバンクテレコムは1月17日,総務省の接続委員会が現在議論しているNGN(次世代ネットワーク)の接続ルールの在り方に関する説明会を開催。改めて「光ファイバの1分岐単位の貸し出しを実現すべき」(ソフトバンクテレコム 弓削哲也専務取締役専務執行役員兼CTO,研究所長兼渉外部担当)と訴えた。

 昨年11月の接続委員会(合同公開ヒアリング,関連記事)でソフトバンクの孫正義社長が主張した内容と同じく,「(NTT東西地域会社の)光ファイバ設備の費用算定方法を見直し,NTTと接続事業者で設備を共用すれば,同社試算で1ユーザー当たりの接続料を月額617円に低減できる」と主張した。

 NTT東西は光ファイバの1分岐単位の貸し出しに強く反対している。主な理由としては,(1)OLT(光信号伝送装置)や分岐数は将来変わる可能性がある,(2)新サービスの柔軟な提供に支障が生じる,(3)NGNの特徴である帯域確保サービスの実現が困難になる,(4)故障対応のサービス・レベルが低下する,(5)ポリシーが異なる事業者間で共通の運用ルールを決めるのは困難--といった点を挙げる(関連記事)。

 これらに対してソフトバンクは,説明会で一つひとつに反論した。(1)に対しては「OLT装置や分岐方式の変更は,値下げや速度アップを目的としており,ユーザーと事業者の双方にメリットがある。普通に考えれば反対する事業者はいないはず」,(2)に対しては「新サービスによる設備の追加は設備を共用していても問題なく可能。スムーズに調整できるよう,あらかじめ事業者間で運用方法を取り決めておけばよい」,(3)の帯域確保サービスについても「NGNの帯域制御サーバーのインタフェースを公開し,接続事業者の帯域制御サーバーと連携すれば問題ない」と主張する。

 さらに(4)の故障対応については「NTT東西の指定電気通信設備は他事業者も利用することが前提であり,現在の相互接続でも同様のことが行われているので問題なく円滑に対応可能」,(5)の共通の運用ルールについても「協議しながら決めることで,議論する前から困難と決め付けるのは不適当」と主張した。このほか,NTT東西が主張する投資リスクや営業リスクに対しても「1分岐単位の貸し出しにすれば,設備の効率的な利用が可能になるので,むしろ投資リスクや営業リスクは抑えられる」と疑問を投げかける。

 これらの点を踏まえ,「総務省が主体となって有識者や専門家,通信事業者などで構成する研究会を発足し,産・官・学が一体となって通信インフラの整備を検討すべき。FTTHを低廉な料金で提供するための議論や,NTTも参加する実験を行う必要がある」(弓削専務執行役員)と提言した。

ダーク・ファイバの接続料に対しても不満を連発

 一方,NTT東西が1月9日に認可申請したダーク・ファイバの接続料(関連記事)についても「依然として高い水準で,競争できるようなレベルではない」と不満を訴えた。細かい点では,「接続事業者が利用しやすい仕組みにすれば2010年度末に2000万よりも多くの需要を見込めるはず」「算定期間は3年間ではなく5年間とすべき」「光ファイバの耐用年数は30年とすべき」「施設保全費をさらに削減すべき」といった点を挙げた。

 さらに,議論の焦点となりそうな「かい離額調整制度」については「接続事業者に確認もせずに立てた需要予測で,予測がはずれたからといって未回収分を追加徴収する事後精算の導入はあり得ない」と切り捨てた。