スウェーデンMySQL ABのマーチン・ミコスCEO
スウェーデンMySQL ABのマーチン・ミコスCEO
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 米サン・マイクロシステムズは1月16日(米国時間)、オープンソースのデータベース・ソフトを提供するスウェーデンMySQL ABと、約10億ドルで買収することに合意したと発表した。買収完了後、MySQL ABはサンの1部門になる。これにより、サンはオープンソースのミドルウエア群をそろえ、オープンソース市場でのソフト製品のシェアを高める狙いとみられる。

 サンはすでにOSのSolarisをはじめ、APサーバーのSun Java System Application Server、統合開発環境(IDE)のNetBeansなどをオープンソースとして提供している。これに、データベース・ソフトのMySQLを加えることで、ミドルウエア群が一通りそろう。「これらのソフト間で連携を高めるのは間違いない。すでにMySQLとSolarisの連携強化は計画されている」。サン・マイクロシステムズのマーケティング統括本部ISV&パートナーマーケティング本部の伊藤敬本部長は、こう述べる。オープンソース市場でOSからミドルウエア層までのシェアを握る米レッドハットに対抗しうる形になるといえる。

 一方、買収される側のMySQL ABのメリットとして、マーチン・ミコスCEO(写真)は、「我々のメリットは2つある。1つは、サンのパートナー網などを通じて、企業ユーザーを一層獲得できること、もう1つはサンの技術者と協力して性能やスケーラビリティを高められること」と述べる。

 今回、サンの買収提案に合意した理由についてミコスCEOは、「MySQLが成長していく道として最適と判断した。サンの戦略とオープンソースへのコミットメント、マネジメントの仕方に、とても共感している」と説明した。MySQL ABは2年前、米オラクルからの買収提案を断った経緯がある。その理由について「独立した形で成長を図っていきたいから」と語っていた。

 MySQLはミコスCEOによると全世界で「推定で1100万件の導入実績がある」という。オープンソースのデータベースとして、全世界でシェア1位とされている。従来、Webサイトでの利用が多かったが、ミコスCEOは「信頼性を高めてミッション・クリティカルなシステムでOracleとも競合していく」とする。今後、オープンソースが企業システムに浸透していけば、サンが企業システムのミドルウエア・ベンダーとして地位を高める可能性もある。