新興のブロードバンド通信事業者であるイー・アクセスは1月16日夜、同業のアッカ・ネットワークスに対して、同社の木村正治社長など取締役3人の退任などを求める株主提案を行ったと発表した。株主提案では先の3人の不再任に加え、イー・アクセス陣営から常勤2人、非常勤2人の取締役4人の選出も要求。今年3月の定時株主総会で決議にかけるよう求めている。

 イー・アクセスは株主提案を行った理由を、「不振が続く同社の抜本的な経営改革を求めるため」としており、経営陣の刷新と併せて、同社への経営参画を目指した動きと言えそうだ。

 今回の株主提案の前提になったのが、イー・アクセスによるアッカ株の買い増しだ。同社は、2006年8月までにアッカの発行済み株式10.3%を取得し、第2位の株主に躍り出ている。さらに昨年末にも株式を買い増し、2007年12月21日までに12.68%を出資する筆頭株主になった。昨日にこの事実を公表したアッカは、「大量保有報告書から株式買い増しの事実を知り、昨年12月から、先方の意図を知るべくコンタクトを取っていた。しかし話を聞く前に、本日イー・アクセスから発表があったことを知った。現在も先方の意図を聞く努力をしているところ」(広報部)と、困惑気味だ。

 イー・アクセスが、退任を求めた取締役は、日本IBMなどITサービス業界の経験が長い木村正治社長とアッカの創業者である湯崎英彦副社長、そして財務担当の広野公一財務経理部長。その理由として、「ADSL事業の伸び悩みを、法人向けサービス事業やM2M(マシン制御用途)などのソリューション事業などでもカバーできていない。ブロードバンド通信事業に精通した経験豊富なマネジメントチームを新たに編成するべき」としている。

 アッカには10%超を保有する第2位株主として、創業期の大株主であるNTTコミュニケーションズなどの後ろ楯もある。現時点で、イー・アクセスの提案が他の株主に支持されるかは未知数だ。それでも法人向けサービスの方向性には、影響を与える可能性もある。