情報通信審議会 情報通信技術分科会の「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」は,2GHz帯TDDバンド(2.010G~2.025GHz)を使用する移動通信システムの検討を開始した。この帯域は,アイピーモバイルが2007年10月30日に返上を申し出て,同年12月12日に認定を返上した帯域である。この帯域は現在,TD-SDMAおよびTD-SCDMA方式が定められているが,広くTDD方式(同一周波数を使い,時分割で上り通信と下り通信を制御する手法)を活用した移動通信システムの提案を募り,技術的条件を検討することを予定している。

 計画では,2008年4月に委員会報告のとりまとめを審議し,同月中旬にパブリックコメントの募集を行い,同年5月中旬頃に委員会報告の最終とりまとめを予定している。検討に当たり,作業班を設置し2008年1月22日に最初の会合を開催する。また,1月中旬から約1カ月の期間をかけて,広く意見を募集する計画である。今回の検討は,2GHzを利用する移動通信システムの基地局,陸上移動中継局および陸上移動局(小電力リピータを含む)などが検討の対象になる。同システムの(1)要求条件,(2)モデルの設定,(3)隣接システムとの干渉調査・共用条件の検討,(4)電波防護指針への適合など,(5)以上の検討を基に,2GHzにおけるTDD方式の技術的条件の策定,などを行う。

 2008年1月15日に開催された同委員会第27回会合では,こうした方針を確認するとともに,関連システムの国際標準化動向などについて報告された。対象は,IEEE802.16,IEEE802.20,PHS MoU Group,3GPP(IMT2000)である。

 IEEE802.16については,インテルの関係者が,同委員会の状況やWiMAXフォーラムの状況を説明した。質疑応答では,資料として示されたモバイルWiMAXの認証プロファイル(リリース1)についての質問があった。バンドクラスとして1(2.2~2.3GHz)~5(3.4~3.8GHzなど)まで示されたが,この中に2GHz帯が含まれていないことに関するものである。これに対し,まだ議論が始まっていないことや,必要な場合はビジネス性の検討などを経てメンバーの賛同が必要であることなどが説明された。

 IEEE802.20の関係では,625k-MCモード(iBurstをベースにしたもの)について京セラの関係者,Widebandモードについては,クアルコム ジャパンの関係者が説明した。iBurstについては,海外での利用周波数が紹介され,インドでは実験用ではあるが2.010~2.025GHzの周波数が認可されていることを報告した。クアルコム ジャパンは,3GPP2との関連についても触れ,その中でWidebandモードと共通化したTDD方式の仕様が2008年春に完成の予定であることを示した。またFDDであるEV-DO Rev.B(S.C0024-B)を取り上げて2.010G~2.025GHzについてダウンリンク専用あるいはアップリンク専用として,マルチキャリアで運用可能と説明した。

 PHS MoU Groupについては,ウィルコムの関係者が次世代PHSを中心に説明した。電波産業会(ARIB)でも2007年12月に正式に承認され,規格化されたことが報告された。3GPPについては,ARIBの関係者が説明した。この中で3GPP TDD方式の主要緒言として帯域幅が1.6MHz(チップレートは1.28Mcps),5MHz(同3.84Mcps),10MHz(同7.68Mcps)の三つが示された。15MHz幅についての質問があったが,「提案があれば検討されるだろう。さらに5MHz×3という方法もある」と回答した。