欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間1月14日,米Microsoftに対して競争法(独占禁止法)違反の調査を新たに開始することを明らかにした。同社が独占的立場を利用し,ECの条約を侵害している疑いがあるとして,欧州の業界団体European Committee for Interoperable Systems (ECIS) とノルウェーOpera Softwareが申し立てていたもの。

 欧州におけるMicrosoftの競争法違反問題では,2007年9月に欧州第一審裁判所が,Microsoftに対してECが2004年に決定した是正措置に従うよう命じる判決を下し(関連記事:MSの競争法違反問題,欧州司法裁判所がECの是正命令を支持),同年10月にMicrosoftはこれを受け入れる意向を明らかにした(関連記事:Microsoft,競争法違反を巡る欧州委員会の決定に完全遵守で合意)。是正条件には,競合他社の製品がWindows搭載パソコンやサーバー上で完全な互換性を確保できるようWindowsのインタフェース情報を開示することなどが含まれている。

 ECISは2006年に,Microsoftが相互操作性に関する十分な情報開示を行っていないと告発していた(関連記事:EU,Microsoft Officeに関する独禁法違反の調査を検討)。今回ECは,同社のオフィス・アプリケーション向けファイル形式「Office Open XML」が競合他社の製品と十分な相互操作性を有しているかなどについて調査する。

 またOperaは,Microsoftが「Windows」と「Internet Explorer」の組み合わせなど,自社製品どうしの連携により市場競争を阻害していると主張し,バンドル禁止を求めていた(関連記事:Opera,MicrosoftをECに提訴,WindowsへのIEバンドル禁止などを要求)。ECはさまざまなMicrosoft製品について不当な抱き合わせ販売を行っていないか調べる。

 なおECは,「調査の実施がMicrosoftの違反を認めるものではない」と述べている。

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