「iPhone」という圧倒的な競合がいるカジュアル・スマートフォン分野で,果敢な挑戦を続けている日本の携帯メーカーがある。「2008 International CES」で,米T-Mobile USA向けに供給する「Sidekick LX」を展示したシャープだ。「手裏剣ガール(写真1)」というアニメで来場客にアピールするSidekick LXがなぜ「手裏剣」なのか,動画で解説しよう。

写真1●シャープが「CESブース限定」で放映しているアニメ「手裏剣ガール」の一コマ。アニメ制作大手のガイナックスが手がけた   写真2●T-Mobile USAが2007年9月に発売したフル・キーボード付きの携帯電話機Sidekick LX
写真1●シャープが「CESブース限定」で放映しているアニメ「手裏剣ガール」の一コマ。アニメ制作大手のガイナックスが手がけた
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  写真2●T-Mobile USAが2007年9月に発売したフル・キーボード付きの携帯電話機Sidekick LX
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 Sidekick LX(写真2)は,T-Mobile USAが2007年9月に発売したフル・キーボード付きの携帯電話機である。Webブラウザやデジタル・カメラ,メーラーなどを搭載し,仕事用ではなくホビー用のスマートフォンとして販売している。

 Sidekick LXは開発コード名が「Shuriken」で,シャープはCES 2008のブースでも「手裏剣ガール」というアニメを使ってアピールしている。なぜ手裏剣かは,そのディスプレイを開く動きを見れば一目瞭然だ(動画)。

動画●Sidekick LXでモニターを開いた様子。ズバッと回転する

 Sidekick LXは,普段は縦型の携帯電話機として使用する。キーボード操作が必要になった際には,本体上部に手をかけてボタンを押すと,モニターがぐるりと回転して,キーボードが現れる。シャープは日本国内向けの携帯電話機でも,モニターが回転する「サイクロイド方式」を採用しており,その進化形のようだ。確かに,忍者が手裏剣をシュシュっと放つしぐさに似ており,手裏剣というコード名をつけたのもうなづける。

 しかし,手裏剣というアイデアが,米国人に理解されるかどうかは不明だ。記者は米国人の反応が知りたくて,CES期間中は毎日2度,3度,意識的にシャープ・ブースを見回っていたが,手裏剣ガールのアニメを見ているのは,日本人が多かったように思われる。Sidekick LXを販売するT-Mobileも,本拠地のドイツではiPhoneを導入したのは既報の通り。iPhoneに挑むシャープに応援を送りつつ,米国でアイデアが伝わるのか,やや不安な感想を抱いた。