松下電器産業の大坪文雄社長
松下電器産業の大坪文雄社長
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社名およびブランドを「パナソニック」に統一する。2008年10月1日より実施する
社名およびブランドを「パナソニック」に統一する。2008年10月1日より実施する
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 松下電器産業は2008年1月10日、会社名を「パナソニック」に変更すると発表した。同社の大坪文雄社長が2008年度の経営方針を説明する席で明らかにした。同時にブランド名も変更する。国内向けに用いてきた「ナショナル」ブランドを廃し、すべてパナソニックで統一する。2008年6月の株主総会での承認を経た後に、2008年10月1日より実施する。

 松下電器産業は、国内においては、冷蔵庫や洗濯機など白物家電の「ナショナル」、デジタルカメラやパソコンなどの映像および音響機器の「パナソニック」と、2種類のブランドを擁立してきた。ただし、海外ではパナソニックブランドが浸透しており、2003年からブランドを統一していた。

 大坪社長は会見の席上で、社名変更およびブランド統一の理由を「関連会社の結束を強めるとともに、同社のブランド価値の向上を図るため」と述べた。松下電器産業の各関連企業は、会社名に松下、ナショナル、パナソニックと3種類の名前を有していたことで、ブランド力や宣伝投資効果などが分散していたという。

 大坪社長によれば、今回の社名変更およびブランドの統一に伴う費用は約300億円。これについては「ナショナルや松下の名前で投資した宣伝・広報活動の費用は約200億円。今後はパナソニックに全額投資すれば十分相殺できると考える」(大坪社長)とした。

 ナショナルといえば、創業者の松下幸之助氏が考案し、約80年もの長きに渡って愛用されたブランド。大坪社長は「検討を始めたのが2007年の秋ごろ。苦渋の決断だったが、ノスタルジーに浸るよりは成長の可能性を秘めたパナソニックブランドに懸けた」と胸の内を明かした。