国土交通省は1月8日、建築物の構造設計に不可欠な構造計算プログラムの「仮認定」を開始すると発表した。昨年6月の改正建築基準法施行による建築確認の審査厳正化により、新設住宅の着工戸数が大幅に減少している問題の解決を図る。

 姉歯事件をきっかけにして、耐震強度データの改ざん防止を狙った改正建築基準法では、構造計算プログラムの「大臣認定」制度を盛り込んだ。改正建築法で決めた構造設計の方法を実装した構造計算プログラムを審査・認定し、そのプログラムを使った構造計算の審査を簡略化する狙いだった。ところが大臣認定の審査基準の詳細が固まらず、いまだ大臣認定プログラムが存在しない。それにしびれを切らした国交省が、今回の措置を打ち出した。

 仮認定は、大臣認定プログラムの審査を最初に申請したNTTデータのプログラムに対して、1月21日をめどに付与する。仮認定したプログラムを検証するコンソーシアムを、設計事務所や審査機関が参加する形で設立し、プログラムの不具合などを洗い出し、正式認定を急ぐ。

 国交省は当初、07年末までに大臣認定プログラムを用意する予定だったが、間に合わなかった。まずはNTTデータのプログラムを認定したい意向だが、道のりはまだ遠い。十数社が市販する構造計算プログラムの中で、NTTデータのシェアは大きくない。ユニオンシステムと構造システム、構造ソフトという大手3社のプログラムは、認定の見込みがまだ立っていない。