ウイルス届け出件数の推移(IPAの発表資料から引用)
ウイルス届け出件数の推移(IPAの発表資料から引用)
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 コンピューターウイルス(以下、ウイルス)の届け出先機関として指定されている独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2008年1月7日、2007年中の届け出状況を公表した。2007年の年間届け出件数は3万4334件で、2006年の4万4840件と比べて大幅に減少。2005年をピークに減少傾向にあるという。

 IPAへのウイルス届け出件数は、2005年に5万4174件の過去最多を記録。原因は、「Netsky(ネットスカイ)」をはじめとする、メールで感染を広げるウイルスの大流行である。それが、2006年、2007年と年を追うごとに減っている。この理由としてIPAでは、「大規模な感染拡大を引き起こす大量メール配信型のウイルス」が流行していないことを挙げている。

 なお、Netskyは大流行していないだけで、現在でも“健在”。ウイルスごとの届け出件数で見ると、Netskyが7352件で最も多く、次いで「Bagle」が2960件、「Mytob」が2662件(いずれも亜種を含む)。また、1件の届け出には複数のウイルス検出が含まれる。ウイルスごとの検出数“ベスト3”は、Netskyが556万6319件、「Stration」が23万6768件、Mytobが23万4695件だった。

 ウイルス届け出件数には、実際に被害に遭ったという報告だけではなく、ウイルスを発見したという報告も含まれる。例えば、パソコンに感染する前に、ウイルス対策ソフト(セキュリティ対策ソフト)などで検出したケースも届け出件数に含まれる。

 2007年の届け出件数中、実害があったのは全体の0.2%(図)。2005年、2006年と同様に実害率は低い。この理由としてIPAでは、「感染する前に、セキュリティ対策ソフトで検知するという、基本の対策が浸透している」ためとしている。