写真1●Cell搭載で実現するSD画質のアップ・コンバート機能
写真1●Cell搭載で実現するSD画質のアップ・コンバート機能
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写真2●12月最終週に,次世代DVDプレイヤの市場シェアで東芝が49.3%を占めたと主張した
写真2●12月最終週に,次世代DVDプレイヤの市場シェアで東芝が49.3%を占めたと主張した
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 東芝は1月6日(米国時間),同社とソニー,米IBMが共同開発するプロセッサ「Cell Broadband Engine」を搭載するテレビを,2009年春にも発売する意向を明らかにした。Cell搭載テレビの試作機を7日からの「2008 International CES」で展示する。標準画質(SD)の動画を高精細(HD)動画に変換(アップ・コンバート)するのにCellのパワーを使用する。

 東芝は液晶テレビの製品更新ペースを加速し,従来は年1回だったモデル・チェンジを,2008年春モデルから「春・秋」の年2回に変更した。今回のCES 2008で,パネルのコントラスト比などを向上した2008年春モデルの液晶テレビ新製品を発表したほか,2008年秋モデル以降に採用する予定である「Cell TV(Cell搭載テレビ)」や,HD動画を無線で伝送する「WirelessHD」といった新技術を公開している。

 同社によれば,Cell搭載テレビが登場するのは2008年秋~2009年春モデルの予定で,2009年になる公算が高いという。ソニーのゲーム機PLAYSTATION 3に搭載されているフル機能のCellではなく,プロセッサ・コアなどを削減した「セミCell」を搭載する。Cellプロセッサの処理能力は,SD画質のHD画質へのアップ・コンバート以外にも,ユーザー・インターフェースの処理などにも使用する。Cellを搭載したPLAYSTATION 3が備えるアップ・コンバート機能は,その品質の高さが知られている。液晶テレビにPLAYSTATION 3に匹敵するアップ・コンバート機能が内蔵されることで,SD画質であるDVDの映像を,より美しく再生できるようになるだろう(写真1)。

 CES 2008で東芝は,Cell搭載テレビ以外にも,Cellをベースにしたパソコン用映像処理プロセッサ「SpursEngine」を搭載したAVノート・パソコン「Qosmio」のモデル機や,業界最大級の容量となる128GバイトのSSD(Solid State Drive,HDD置換を目的としたフラッシュ・メモリー),携帯音楽プレイヤ用の燃料電池などを展示する予定。

 なお,6日にCES 2008会場で記者会見を行った東芝は,米Warner Bros. EntertainmentがBlu-ray DiscとHD-DVDの両規格に対応する方針を改め,フォーマットをBlu-rayに一本化したことを批判。2007年12月に次世代DVDプレイヤの市場シェアで東芝が49.3%を占めた(写真2)ことなどに触れながら,「消費者のニーズに最も適したのは,インタラクティブ機能などを備えたHD-DVDだ」と主張した。