写真1:CEAのシニア・マネージャで産業アナリストであるSteve Koenig氏
写真1:CEAのシニア・マネージャで産業アナリストであるSteve Koenig氏
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 米国の家電業界団体Consumer Electronics Association(CEA)は1月5日(米国時間),CEAが7日から開催する「2008 International CES」に先立って,米国家電市場の動向を説明した。2007年における製品出荷金額の成長率が最も高い製品群は「ハイデフ(高精細)対応DVDプレイヤ(Blu-RayとHD-DVD)」で,年率521%成長した。

 CEAが発表した「2007年に最も成長した製品」の一覧は表1の通りで,Blu-RayやHD-DVDプレイヤや,それらで再生したコンテンツを表示する大型テレビなどが高い成長を見せた。

 CEAの産業アナリストであるSteve Koening氏(写真1)は「2007年は,デバイスとコンテンツの統合(コンバージェンス)が進み,高精細ディスプレイのお陰でコンテンツのリアリティが増し,デバイス同士の接続性が向上した年だった」とまとめている。

表1●2007年における出荷金額ベースの成長率が最も高かった製品
順位製品成長率
1位ハイデフ(高精細)対応DVDプレイヤ(Blu-RayまたはHD-DVD)521%
2位HDラジオ対応ヘッドセット421%
3位フルHD(1080p)対応テレビ264%
4位800万画素以上のデジタル・カメラ190%
5位携帯ナビゲーション装置145%
6位動画再生対応MP3プレイヤ83%
7位液晶テレビ72%
8位MP3プレイヤとiPod58%
9位DVDプレイヤ(録画型や携帯型ではないもの)52%
10位ゲーム機50%

写真2:米国におけるHDTVの普及状況
写真2:米国におけるHDTVの普及状況
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写真3:CEAのエコノミストであるShawn DuBravac氏
写真3:CEAのエコノミストであるShawn DuBravac氏
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 米国におけるHDTV(ハイビジョン対応テレビ)売れ行きも好調だ。HDTVの普及率は,2007年末で39%に達している。2007年に出荷された液晶テレビの台数は1680万台で,2008年も32%の成長が見込まれている(写真2)。

 2008年の展望についてCEAのエコノミストであるShawn DuBravac氏(写真3)は,「デバイスとコンテンツ,サービスの融合がさらに進む」と指摘する。「コンテンツには,プロが作成したものだけではなく,ユーザーが作成したもの(User Generated Content)も含まれる。最近は家電製品においても,(写真共有サービスの)flickrや(ビデオ共有サービスの)YouTube,(ソーシャル・ネットワーク・サービスの)facebookのようなWeb 2.0サービスとの連携が進んでいる」(DuBravac氏)。

 デバイスとコンテンツ,サービスの融合に関して,米国でもようやく注目を集めつつあるのが,テレビ放送をハードディスクなどに録画するデジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)だ。「DVR市場は2007年にようやく花開いた。2005年1月には9%に過ぎなかったDVRの普及率が,2008年1月には25%に達した」(DuBravac氏)。DuBravac氏は,DVRやYouTubeのようなオンライン・コンテンツの共通点を「ユーザーがパーソナライズしてコンテンツを視聴できること」と指摘している。

 CEAはこのほか,米国における2008年のデジタル家電製品別の普及率と成長率も発表している(表2)。CEAによれば,デスクトップPCの成長率は鈍化し,ノートPCへのシフトが進むとしている。

表2●デジタル家電製品別の普及率と2008年の成長率
製品普及率成長率
デスクトップPC66%1%
デジタル・カメラ64%-1%
デジタルTV50%17%
携帯型MP3/複合型プレイヤ45%全体では3%
複合型は19%
ノートブックPC44%7%
携帯ゲーム機31%28%
携帯ナビゲーション13%36%
スマートフォン8%32%
デジタル・フォト・フレーム2%44%

 また,「2008年に最も成長が見込める製品」は,A2DP対応Bluetoothヘッドセットが1位で,50型以上の液晶テレビ,フルHD(1080p)対応テレビの順である(表3)。2007年に500%以上の成長を記録したハイデフ(高精細)対応DVDプレイヤも,2008年は112%の高い成長が引き続き見込まれている。

表3●2008年における出荷金額ベースの成長率が高く見込まれる製品
順位製品成長率
1位A2DP対応Bluetoothヘッドセット219%
2位50型以上の液晶テレビ122%
3位フルHD(1080p)対応テレビ115%
4位ハイデフ(高精細)対応DVDプレイヤ(Blu-RayまたはHD-DVD)112%
5位HDラジオ対応ヘッドセット94%
6位ヘッドセット85%
7位HD対応ビデオ・カメラ83%
8位携帯ナビゲーション(交通データが利用可能のもの)74%
9位VOIP電話・アダプタ62%
10位60型以上のプラズマ・テレビ43%

■変更履歴
当初,「表1●2007年における出荷金額ベースの成長率が最も高かった製品」の8位を「光電変換装置(デジタル・カメラ/ビデオなど)総合」としておりましたが,正しくは「MP3プレイヤとiPod」でした。元の資料にある「Total O/E Integration」の翻訳を取り違えたことによる誤りでした。お詫びして訂正します。 [2008/01/07 06:32]