受託開発するソフトウエアに関する会計基準が、プロジェクトの進ちょく度に応じて収益や費用を計上する「工事進行基準」に一本化されることが正式に決まった。企業会計基準委員会(ASBJ)が12月27日、「工事契約に関する会計基準」と適用指針を公表した。この会計基準によると、受託ソフト開発は工期や受注額を問わず、原則として2009年4月以降の事業年度から進行基準の適用が義務付けられる。

 進行基準が適用されるのは、受託ソフト開発のうち、進行途上にあるプロジェクトの進ちょく部分について成果の確実性が認められる場合。成果の確実性を示すために、収益総額、原価総額、決算日における工事進ちょく度の三つの要素について、信頼性をもって見積もることが求められる。
 
 これらの要件を満たさない場合と、工期がごく短いものに関しては、検収時に収益や費用を計上する「工事完成基準」を適用する。対象企業は上場・非上場や規模を問わないので、顧客の要望に応じて開発する情報システムの多くが進行基準の適用対象となる。

 進行基準における期末の原価は、予想原価(見積もり原価)に対する進ちょく率から算出するのが一般的だ。つまり、予想原価を正確に見積もっておく必要があるうえ、プロジェクト管理を厳格に実施していることが前提になる。この結果、顧客との契約手続きが煩雑になるなど、現場の負担が重くなる可能性が高い。業界各社は対応を急いでいるが、SI業界で進行基準に移行した企業は野村総合研究所や富士通など一部に限られている。