図1 動画のスクリーンショット(シマンテックの情報から引用)
図1 動画のスクリーンショット(シマンテックの情報から引用)
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図2 ニュースレターの一部(シマンテックの情報から引用)
図2 ニュースレターの一部(シマンテックの情報から引用)
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 米シマンテックは2007年12月24日(米国時間)、ある動画を閲覧させようとする迷惑メール(スパム)が出回っていることを明らかにした。メール中のURLにアクセスすると、特定の動画がストリーミング配信される。動画の内容は、ある企業の好業績などを伝える偽情報。

 今回の迷惑メールの目的は、「風説の流布」。ある企業の好業績を伝える偽情報を流すことで、その企業の株価をつり上げようとする。こういった迷惑メールは「pump and dump(パンプ・アンド・ダンプ)」と呼ばれる。偽情報によって株価が上がると、迷惑メール送信者(あるいは、迷惑メールの送信を依頼した人物/組織)は、安いうちに購入しておいた株を売り抜けて利益を得る。

 今までにも、偽情報を画像ファイルに記載して添付した「画像スパム」や、偽情報のPDFファイルを添付した「PDFスパム」が多数出回っている。2007年10月には、偽情報をMP3形式の音声ファイル(.mp3)にした「MP3スパム」も確認されている。

 そして今回、「動画スパム」が出現した。今までのパンプ・アンド・ダンプと異なる点は、ファイルを添付していないこと。メール中のリンクから、偽情報の動画を配信するWebサイトへ誘導する。

 メールは英語。件名は「Catch The Wave Video」。本文には、「この波に飛び乗れ!このチャンスを最初につかめ。まずは、(以下のURLにアクセスして)60秒の動画を見てほしい」といった内容と、あるURLが記載されている。

 このURLにアクセスすると、メールの内容どおり、動画がストリーミング配信される。シマンテックによれば、画像は鮮明で音声もはっきりしていて、本物のテレビコマーシャル並みのクオリティであるという。

 動画では、イメージ映像などが映し出されるとともに、司会者と金融アナリストのゲストが会話を展開(図1)。特定企業の戦略と財政的な見通しについて話をしている。そして、30秒の動画が終わるとすぐに、その企業の銘柄(記号)などを詳細に伝えるニュースレターがWebブラウザー上に表示(図2)。ユーザーに対して、その企業の株購入を勧める。