CRID Philippe Laurent氏
CRID Philippe Laurent氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「EU(欧州連合)は独自のオープンソース・ライセンスEUPL(European Union Public License)を作成した」---CRID(Research and CEnter in IT and Law)研究員のPhilippe Laurent氏は12月21日,独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)オープンソースソフトウェア・センターが開催した「ソフトウエアライセンシングと知財問題に関するシンポジウム」でEUPL策定の意図などについて講演した。

 EUPLを策定したのはIDBAC(Interoperable Delivery of pan-European eGovernment Services to Public Administrations, Businesses and Citizens)。EUの各国間で使用する電子政府サービスを開発している機関である。Laurent氏はEUPLの策定にも関わっている。

 「IDABCはOSSを推進している」(Laurent氏)。その理由はシステム開発の重複投資を避けること。またOSSの支援や採用によりオープンスタンダードを推進し,選択の自由を拡大することにあるという。

 IDABCは開発したソフトウエアをオープンソース化するにあたって,どのライセンスに基づき公開すべきか,GPLは広く普及しているライセンスとして候補に上がったが,問題があった。「GPLはアメリカの国内法に基づいている。またライセンスを修正できない。翻訳したものは正式なライセンスとして認められない」(Laurent氏)。そのため,EUの著作権法に基づいて独自のライセンスEUPLを策定した。

 EUPLは2004年にファースト・スケルトンが作成され2007年1月,英語,ドイツ語,フランス語の3カ国語でリリースされた。2007年2月にはグループウエアCIRCA,市民からの政策へのフィードバックを受け付けるIPM(Interavtive Policy Making)がEUPLに基づき配布された。

◎関連資料
European Union Public Licence (EUPL v.1.0)