MP3ファイルの検索サービスを提供している中国検索サイト大手、百度に対して、米国などのレコード会社連合が、ファイルのダウンロードサービスの停止や損害賠償請求を起こしていた裁判の判決が先週言い渡された。訴えていたのは、ユニバーサル、ワーナーミュージック、EMI、SONY BMGなど。

 北京高級人民法院は、「百度は権利侵害を行っていない」と無罪の判決を言い渡した。百度は「検索結果を表示しているだけで、権利を侵害するファイルをアップロードしているわけではない」という主張をしていたが、これが認められたことになる。

 中国の裁判所は下から、末端、中級、高級および最高人民法院がある。過去2回の裁判では、百度が敗訴しており、今回は逆転判決がでたことになる。レコード会社連合はこの判決を不服としており、最高人民法院に上告する方針だ。

 なお、同種の裁判として、同じく国際的なレコード会社連合(今回の原告側とは異なる)が、MP3検索サービスに対する損害賠償などを求めて、ヤフー中国を訴えていた。こちらの裁判は2007年4月に北京第二中級人民法院が原告側勝訴の判決を出した。ヤフー中国はそれを不服として上告したが、12月に北京高級人民法院がそれを棄却。ヤフー中国の敗訴が確定している。

 百度とヤフー中国の裁判では何が違うのか。中国のメディアによると、コンテンツホルダーの権利を守る条例「信息網絡伝播権保護条例」の施行時期によるのではないかとの見方が強い。この条例が施行されたのは2006年7月。百度への訴訟が起こされたのが2005年7月で、ヤフー中国が2006年7月だったのが、明暗を分ける理由になったのではないかというのだ。