写真●ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長
写真●ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長
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 ウィルコムは12月21日,総務省から2.5GHz帯の開設計画の認定を受けた。認定書の交付式後,ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長は報道陣の取材に応え,今後の事業計画などを語った。認定を受けたことについて喜久川社長は「ここからがスタートだ。免許を頂いたからには,できるだけ早く事業を開始するのが今日からの目標になる」と意気込みを見せた(写真)。

 同社が総務省に提出した計画では,2009年4月に試験サービス,2009年10月に商用サービスを開始するとしている。喜久川社長は「財務的に慎重な計画を見込んだ。ニーズが高ければ,公表された計画よりも前倒しする可能性はある。そのための自己資金はあるし,金融機関もバックアップするとしてくれている」とサービスの早期開始の可能性を示唆した。

 サービス・エリアは,2011年度で人口カバー率56.6%,2012年度で90.6%,2013年度で93.6%に広げる。加入者数の予測は2015年度で約390万加入,想定ARPU(ユーザー1人当たりの月間平均利用額)は4000円以下としている。設備投資額は2013年度末までの累計で約1400億円,2015年度までの累計では約2000億円を計画している。これらの計画も,場合によっては前倒しする可能性がある。

 喜久川社長はこれまでを振り返って「不安はあった。2枠に対して申請は4社だから認定される確率は2分の1。技術開発から(ソフトバンク孫正義社長との)“場外乱闘”も含めてやれることはやったが,絶対の自信があったわけではなかった」と心情を吐露。「ただ,真剣さでは1番という自信はあった。だから,比較審査の点数が2位というのはちょっとくやしい。事業では1番になりたい」と笑顔で話した。

 モバイルWiMAXと次世代PHSが1社ずつとなったことについて,「次世代PHSとモバイルWiMAXが技術面で競争することが期待できる。2社ともモバイルWiMAXでは,ビジネスモデルとエリア展開だけの違いになる。自動車も全車種が同一のエンジンで外装だけ競ってもつまらない。それと同じことだ」とコメント。

 現行のPHS事業が純減などと苦戦していることについては,「イー・モバイル以外のどの事業者も純減を経験している。各社とも様々な戦略で純増に戻してきた。我々だって過去にそうしてきた。減った分をスマートフォンで取り戻したり,次世代PHSを視野に入れてデータ通信カードのサービスを組み直したりして早期に純増に戻す」(喜久川社長)とした。

 なお,株式公開の計画は「全く未定。資金需要があったり,自己資本を増額する必要があったりすれば株式公開を考えるが,今のところは視野に入っていない」(喜久川社長)。