米Microsoftジェネラル・マネージャのDean Hachamovitch氏は2007年12月19日(米国時間),同社のInternet Explorer(IE)公式ブログに投稿した記事で,次期Webブラウザ「IE 8」に関する情報を公表した(関連記事:IE8のベータ版は2008年前半に登場、標準準拠と互換性確保に注力)。長かった現行版「IE 7」の開発期間中に「透明性を高める」と約束したにもかかわらず,IE 8のリリース計画を明らかにしてこなかったため,このところMicrosoftは批判されていた。

 Hachamovitch氏は「IE 8の開発過程では,抱負でなく事実を伝えようと思う」と記した。「IE 8のリリース情報を投稿したのは,実際に動くコードをチェックインし,最終的な製品に組み込める自信を持てたからだ。IEに関するフィードバックを受け付けると同時に,責任を持って情報開示し,過剰でなく適切な期待を抱いてもらえるよう取り組む」(同氏)。

 Hachamovitch氏のブログ記事には,先ごろIE 8の社内向けビルドがWorld Wide Web Consortium(W3C)標準互換性テスト「Acid2」に合格したと書かれている。Web標準に対する互換性を気にする人々は,これを大きな到達点とみなす。Web開発者にとってよい知らせではあるが,Hachamovitch氏は「IE 8の大切な目標は,IE 7と同じく『既存のWebを壊さないこと』」という点も指摘した。これまでと変わらずMicrosoftは,派手な機能よりも過去との互換性を心配している。

 つまり,Hachamovitch氏はこのブログ記事を使い,Microsoftの沈黙を批判する人々と,独占禁止法(独禁法)違反訴訟を起こしたノルウェーOpera Softwareの両方を,比較的分かりやすい形で攻撃したのだ(関連記事:Microsoft,ブラウザ・メーカーOperaの提訴に反論)。Operaは訴状のなかで,「IEのWeb標準対応を現在よりも強化するため,欧州連合(EU)はMicrosoftに命令を出すべき」と主張した。したがって,Microsoftから初めて明かされたIE 8関連情報が,重要な標準互換性テスト合格という事実であったことは,何ら驚くにあたらない。

 MicrosoftはいつになくIE 8で沈黙を守っているが,筆者の目撃した最近の社内試作版を読者に紹介しよう。デザイン面に施された興味深い変更がいくつか分かる。IE 8も「Office 2007」と同様,左上隅にある1個のメイン・メニュー・ボタンと,その右側の“空き地”にある「Quick Access Toolbar」を組み合わせて操作する。さらに,標準から外れた配置であるにもかかわらずカスタマイズできないIE 7のツールバーが批判されたことを受け,IE 7の「Command Bar」をやめ,すべてのツールバー用ボタンを元のメイン・ツールバーに戻した。一時期Office 2007風の「リボン」ユーザー・インタフェース(UI)を試したが,印象が悪かったので採用しなかった。

 このIE 8の新UIは,10月終わりに投稿したSuperSite for Windowsのブログ記事で報告済みだ。同記事には,当時のIE 8の試作デザインが掲載してある。