放送法改正案が,2007年12月21日の参議院本会議で可決・成立した。2008年春にも施行される見通しである。2007年の通常国会からの継続審議になっていたが,与野党の修正合意によって,ようやく成立にこぎ着けた。

 修正前の改正案には,NHK関連で4件,民間放送事業者関連で6件の項目が盛り込まれていた。具体的にはNHK関連では,(1)経営委員会の権限強化などガバナンス(企業統治)の強化,(2)番組アーカイブのブロードバンド(高速大容量)インターネットによる提供,(3)新たな国際放送の制度化,(4)命令放送制度の見直し──である。

 民放関連では,(1)認定放送持ち株会社制度の導入,(2)携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」における独自番組の解禁,(3)有料放送におけるプラットフォーム業務の制度化,(4)番組捏造(ねつぞう)などの再発防止計画の提出義務化に関する制度の導入──などが盛り込まれていた。

 これに対して与野党が合意した修正内容は,(1)NHK経営委員会による番組編集への介入を禁じることを明記,(2)番組捏造などの再発防止計画の提出を義務付ける項目を削除,(3)1事業者が保有できる放送持ち株会社の株式を,「2分の1まで」から「3分の1未満」に変更,(4)命令放送を要請放送に変更し,要請内容を「国家の緊急時」や「国民の生命・財産に関すること」などに限定──の4点である。

 改正放送法の成立を受けてNHKは,同日にコメントを発表した(発表資料)。ガバナンス体制の刷新やブロードバンドインターネット事業への進出,命令放送から要請放送への移行など,新しい時代に備えた歴史的な意味を持つとしたうえで,「放送法の改正に伴い必要となる措置を着実に実施するとともに,視聴者からの信頼回復に向けた改革を加速,推進する」とした。