米Microsoftは米国時間12月20日,フリー/オープンソース・ソフトウエア(FOSS)関連の非営利団体Protocol Freedom Information Foundation(PFIF)との間で,Windowsワークグループ・サーバー向け通信プロトコル技術の提供契約を結んだ。PFIFはライセンス料として1万ユーロ(約1万4329ドル)をMicrosoftに支払う。

 これにより,オープンソースWindows互換ファイル・サーバー・ソフトウエア「Samba」の開発グループSamba Teamは,Windowsサーバーとの相互接続実現に必要な技術文書を閲覧できる。対象範囲は,欧州連合(EU)が指定したすべてのワークグループ・サーバー用プロトコル。文書自体の閲覧許可はPFIFとSamba Teamだけに与えるが,成果物であるソースコードは無条件で開示可能とする。

 Microsoftは,対象技術の実装に必要と思われる特許の一覧も提供する。ただし,該当特許のライセンス供与はこの契約の対象に含めない。

 PFIFは,さまざまなFOSSで行うデータ通信の促進を目的とする団体。オープンソースを法律面で支援する団体Software Freedom Law Center(SFLC)が設立した。

 Microsoftは,EUの独占禁止法当局である欧州委員会(EC)からEU競争法違反で訴えられ,2004年3月に有罪判決を受けた。欧州司法裁判所の第一審裁判所へ提訴したが2007年9月に敗訴し(関連記事:Microsoft,EUの独禁法違反訴訟で敗訴,制裁金6億ドル),最終的に技術情報開示などの是正命令を受け入れた(関連記事:Microsoft,競争法違反に関する欧州での申し立てを正式に取り下げ)。PFIFとの契約締結は,この命令に沿ったものである。

[PFIFとMicrosoftが結んだ契約書(PDF形式)]
[発表資料(Samba Team)]