大賞を受賞したファナックの「M-430iA」
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ゼットエムピーの「miuro(ミューロ)」
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松下電工の「血液検体搬送ロボットシステム」
松下電工の「血液検体搬送ロボットシステム」
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九州大学、日立製作所などの「手術用ロボティックシステム」を視察する甘利明 経済産業省大臣(左側)
九州大学、日立製作所などの「手術用ロボティックシステム」を視察する甘利明 経済産業省大臣(左側)
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 経済産業省は2007年12月20日、今年活躍したロボットや将来への期待が高いロボットを表彰する「『今年のロボット』大賞2007」を発表した。大賞は、大量の食品や医薬品を箱詰めできるファナックの産業用ロボット。最優秀中小・ベンチャー企業賞には、ゼットエムピーのダンスをする音楽再生ロボットが選ばれた。ロボットは、12月21日~22日にかけて東京都・港区の展示スペース「TEPIA」で公開する。

 「今年のロボット」大賞は、ロボット産業の市場創出を推進することを目的として2006年から始まり、今年は2回めとなる。一次審査では、応募があった82件から、審査委員会が優秀賞を絞り込み、大賞やベンチャー企業賞などの特別賞を選出した。

 大賞となったファナックの「M-430iA」は、食品や医療品の箱詰め作業を想定した産業用ロボット。コンベア上を流れてくる物品を視覚センサーで認識し、腕でピックアップする。毎分120個を処理しながら、24時間稼動し続ける。手首の構造には樹脂性のギアを採用しており、取り扱う物品に潤滑オイルが漏れない構造とした。清潔さを保つため、洗剤で洗うこともできる。ファナックの稲葉善治社長は「今まで産業用ロボットといえば、ほとんどが自動車の製造工程で使われてきたが、サービスや介護・医療とさまざまな分野に発展させていきたい」とロボット事業の方向性を示した。

 最優秀中小・ベンチャー企業賞は、「iPod」の音楽データやネットラジオを再生できるゼットエムピーの「miuro(ミューロ)」。音楽を再生しながらダンスを踊る機能を持つ。「身近な家電と機能を組み合わせて、毎日使ってもらえるロボットを目指した」(谷口 恒社長)という。

 このほかにも、血液検査の容器を集めて検査装置へ運ぶ「血液検体搬送ロボットシステム」(松下電工)、MRIの画像を見ながらロボット鉗子(かんし)で外科手術ができる「MR画像誘導下小型手術用ロボティックシステム」(九州大学、日立製作所など)、人型ロボットの手足駆動部に使われるサーボアクチュエータ(ハーモニック・ドライブ・システムズ)などが受賞した。

 授賞式では甘利明 経済産業省大臣があいさつし、「昨年のロボット大賞は受賞後に受注が殺到したと聞いている。表彰式が具体的な実需に結びついて、社会に浸透している」と、表彰の意義について言及した。続いて「ロボットの社会進出をする上で、ルールや規制が存在しない。これは我々がインフラ整備をしていく。ロボットが行く道をしっかり照らして、技術が実用化に結びつくようにバックアップを進めたい」と経産省のロボット産業に対する役割を示した。

ファナック「M-430iA」の動作デモ