写真●左からイー・アクセスの千本倖生取締役会長,ソフトバンクBBの宮川潤一取締役専務執行役員,オープンワイヤレスネットワークの深田浩仁代表取締役社長
写真●左からイー・アクセスの千本倖生取締役会長,ソフトバンクBBの宮川潤一取締役専務執行役員,オープンワイヤレスネットワークの深田浩仁代表取締役社長
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 オープンワイヤレスネットワーク,イー・アクセス,ソフトバンクの3社は12月20日,2.5GHz帯周波数割り当てについて総務省と電波監理審議会に要望書を提出したと発表した(写真)。これは,12月18日に「KDDI陣営のワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムが内定」との一部報道がなされたことに対応したものだ。「電波監理審議会での慎重な審議を要望した。また,公平性,認定事業者の経営の安定性,競争環境の観点から,留意して頂きたい事項を示した」(イー・アクセスの千本倖生取締役会長)という。

 具体的には,21日に予定されている電波監理審議会で即日答申するのではなく,関係者による意見陳述の機会を設定すべきとの要望である。「電波法99条の12第2項には,『諮問を受けた場合において必要があると認めるときは,意見の聴取を行うことができる』とある。これに基づいて,21日の電波監理審議会とは別の日に関係者のヒアリングを実施していただきたい」(千本会長)。

 さらに,審議上で留意を求める点として五つの項目を挙げた。一つは,認定後5年間でなく,業務開始後5年間を含む事業計画で比較すること。二つめは,事業免許が認定された事業者がMVNO(仮想移動体通信事業者)へ卸売りする際,認定事業者とMVNOが完全に公平になることを求めた。公平であるべき項目としては,卸価格,情報開示,サービス開始時期を挙げた。

 三つめは,認定事業者の主要株主が認定から最低5年間は株式を一切売却しないことを求めた。これは,米投資ファンドのカーライルが筆頭株主となっているウィルコムをターゲットとした要望である。「投資ファンドは投資して資金を回収するのが本業だ。だが,新たに手に入れた周波数をダシに株を高値で売るとしたら,オークション形式ならともかく,ビューティ・コンテスト形式(電波の管理当局が審査して割り当てる形式)の意図に反するのではないか」(千本会長)と主張した。

 四つめは,アイピー・モバイルが返上した2GHz帯の活用も考慮した割り当てにすべきとの要望。五つめは,国際競争力と国内の競争環境の創出のため,用意された2枠ともにモバイルWiMAXを手掛ける事業者に割り当てるべきとの主張だった。「競争力の観点からは,グローバル・スタンダードの技術を導入するべき。また,国内環境として,同じ端末で相互に事業者を乗り換えられる競争ができるようにするべきだ。でないと,10年後に禍根を残すことになる」(千本会長)とした。

 2.5GHz帯を使った無線ブロードバンドの免許割り当てについては,12月21日に開催される臨時の電波監理審議会で,申請中の4社から2社に絞り込む議論がなされる予定。申請中の4社とは,イー・アクセスとソフトバンクが出資するオープンワイヤレスネットワーク,KDDIが出資するワイヤレスブロードバンド企画,NTTドコモとアッカ・ネットワークスが出資するアッカ・ワイヤレス,ウィルコムのこと。最近,このうちのワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムに免許が付与されるという観測報道が盛んにされていた。