新潟県三条市は12月17日、ICタグを利用した児童見守りシステムを稼働させた。市立大崎小学校に通う児童719人にICタグを配布。小学校の主な通学エリアにICタグ・リーダーを34台設置し、児童が通過した時間や場所を把握。保護者がいつでも子供の居場所を把握できるようにした。

 ICタグ・リーダーは、電柱や公共施設の壁などに取り付けた。ICタグを身に付けた児童が近くを通ると、リーダーは位置情報とタグIDを市役所に設置したサーバーに送信する。リーダーからサーバーへは、ケーブルテレビやADSLをアクセス回線とし、インターネットを介して情報を送信する。

 保護者は、パソコンか携帯電話から専用のWebサイトにアクセスして自分の子供の位置を把握できる。情報はICタグ・リーダーがICタグのデータを受信するごとに更新する。「○丁目の××地点を通ったら通知メールを送信する」といった設定もできる。学校の門にもICタグ・リーダーを設置し、登下校時に児童が校門を通過すると自動的に保護者にメールを送信する機能も用意した。

 ICタグには、非常ボタン機能を搭載した。児童が非常時にボタンを長押しすると、位置情報やIDタグ番号をサーバーに送信する。サーバーは非常ボタンの情報を受信すると、90人程度のボランティアに自動的にメールを送信する。非常ボタンを押した児童の近くにいるボランティアが、現場に駆けつけ安全を確保するという仕組みだ。

 子供の見守りシステムには、GPS機能を搭載した携帯電話を使う、NTTドコモの「イマドコサーチ」やau(KDDI)の「安心ナビ」がある。しかし、どちらも携帯電話を子供に持たせる必要があることから、「大崎小学校では子供が携帯電話を学校に持ち込むことを認めない」としたルールに適合できないという事情があった。子供に携帯電話を持たせると、「出会い系サイトや有害サイトへアクセスするリスクが生じる」(三条市)からだ。ICタグであれば、これらの問題をクリアできる。

 構築費用は3500万円。ICタグは2.4GHz帯のアクティブ型を採用した。保守や回線使用料といった運用コストは、5年間の契約で1年当たり150万円。サーバーやICタグ・リーダーなどの機器はリース契約で3年間で800万円かかるという。システム構築は、富士通新潟システムズが担当した。