IEEE802.11nの策定に向けたスケジュール
IEEE802.11nの策定に向けたスケジュール
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1チップ化してモジュールを小型化した新製品を投入
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アセロス・コミュニケーションズの大澤智喜社長
アセロス・コミュニケーションズの大澤智喜社長
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 アセロス・コミュニケーションズは2007年12月18日、無線LANに関する動向の説明会を開催した。IEEE(電気・電子技術の標準化団体)が標準化を進めている次世代無線LAN規格の「IEEE802.11n」については、ドラフト3.0の承認が遅れたために、正式規格の発表は2009年7月になる見通しだという。

 IEEEは11月に会合を開き、ドラフト3.0を認めるかどうかの投票を実施した。投票では84%の賛同を集めたが、議長が90%以上を求めたため、議論を継続することになったという。ドラフト3.0に対して、IEEEを審議する会員が800以上の意見を寄せているため、その反映に時間がかかる見通し。

 ただ、2007年6月に認証されたドラフト2.0と比べて「ドラフト3.0は大きな差がなく、仕様は安定している」(アセロスの大澤智喜社長)という。Bluetoothなどと周波数の競合を防ぐためのキャリアセンスの部分で変更が加わる可能性もあるが、アセロス製品ではソフトウエアの変更で対応するという。既にWi-Fiアライアンスはドラフト2.0準拠の製品同士で互換性を検証するプログラムを開始している。このプログラムで検証している機能についても、ドラフト3.0の影響を受けないという。

 アセロスは同日、低消費電力化したノートパソコン向けのIEEE802.11nチップを発表した。無線機能やPCI Expressの制御機能などをワンチップに収めて小型化し、10×10mmの基板上に実装できる。送受信するデータの量が少ないときやノートパソコンのバッテリー利用時にMIMOの通信モードを通常の2ストリームから1ストリームに切り替えて電力消費を抑える「Dynamic MIMO Power Save」機能を搭載する。上位版チップの最大通信速度(理論値)は送受信とも300Mbps。これに対して、受信時は300Mbpsだが、送信時の速度は150Mbpsとした廉価版チップも用意した。こちらは普及価格帯のノートパソコンなどに向けた製品。アセロスでは、2008年中に11a/gから11nへの移行が始まり、2009年には11n製品が半数を占めるとみている。