総務省は12月18日,通信事業者間の接続ルールを議論する接続委員会の第102回会合を開催した。接続委員会では現在,NTT東西地域会社が2008年3月から商用サービスを開始するNGN(次世代ネットワーク)の接続ルールについて議論している。

 注目となっている「光ファイバの1分岐単位の貸し出し」は,事務局(総務省)から新たな提案が出た。「OLT」(光信号伝送装置)を共用せずに占有する形で1分岐単位の接続料を設定する案に対し,「1分岐目の接続料は,8分岐合計の接続料の相当の割合を占める額を『基本料』として設定する」という調整案だ。2分岐目以降は「加算額」として扱い,(1)残りの分岐数分で単純に割り算する,または(2)2分岐目を3分岐目よりも高くするなど傾斜配分する,ことで接続料を設定する。

 NTT東西はこれまで,OLTを占有する形で1分岐単位の接続料を設定することに対して,「収容効率の低い事業者の設備費用を,収容効率の高い事業者が負担させられることになるので,設備の使用分に応じた適正なコスト負担がくずれる。また収容効率の低い事業者ほど(他のユーザーと回線を共有しない分)品質の良いサービスを提供できることになるので,設備を効率的に利用するインセンティブが働かなくなる」として反論していた。この意見を尊重して適正なコスト負担を考慮したものが上記提案になる。

 委員からは「確かにこのような方法であれば(設備の効率的な利用を考慮しない)モラル・ハザード的な利用を防げる」や「(事務局の提案は)よく工夫してある」といった意見が出ており,有力候補に浮上してきた。

 一方,ソフトバンク・グループが当初から主張している「OLTの共用による1分岐単位の貸し出し」については「4分岐×8分岐という現行の設備がいつまでも続くとは思えない。NTT東西が設備を変更しにくくなるのは問題」や「(NTT東西の)将来を制約するようなことになる懸念がある」など,難色を示す意見が出ている。

 次回の会合は1月15日の予定。今回で論点整理を終え,次回から骨子案の検討に入る。