マルチコアCPUを搭載したT-EngineによるSMP処理性能のデモ
マルチコアCPUを搭載したT-EngineによるSMP処理性能のデモ
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標準の統合開発環境であるEclipseに組み込まれたT-Engine/T-kernel用の開発環境
標準の統合開発環境であるEclipseに組み込まれたT-Engine/T-kernel用の開発環境
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 組み込み用途の小型コンピュータ・プラットフォームであるT-Engineと,T-Engine向けのリアルタイムOSであるT-Kernel,SMP(対称型マルチプロセッシング)やEclipse,POSIX APIなど,パソコンやPCサーバーなどで馴染みの深い各種の開発環境を取り入れていく。12月12日から東京国際フォーラムで開催していたTRONSHOW2008の展示会場では,T-EngineとT-Kernelの現状と今後が示された。

 まず,T-Engineに搭載されるCPUが,マルチコアへと進化する。クアッド・コアのCPUを搭載したT-Engineと,マルチコア対応のT-Kernelによるマルチプロセッシング処理のデモが展示されていた。SMPのコア数の違いによる処理能力の差異をGUIで表示するというもの。マルチコアCPUは,NECエレクトロニクスが米ARMのARM11を4コア用いたプロセッサ「NaviEngine」を,ルネサステクノロジがSH-4Aを4コア搭載したプロセッサ「SH-X3」(開発コード名)を展示した。

 開発環境ではEclipse対応の展示が目立った。T-EngineとT-Kernelでは,現状でもC/C++言語などを用いるアプリケーション開発環境がある。Cコンパイラや各種ライブラリ,デバッガなどである。今後は,開発環境を提供するベンダー各社が,こうした既存のT-Engine/T-Kernel向けの開発環境をEclipseのプラグインとして利用できるようにする。展示ブースでは,富士通など各社がEclipseに組み込まれた開発画面を展示した。

 市場にある各種のアプリケーションをコンパイルして動作させられるよう,T-Engine/T-Kernel向けのPOSIX APIライブラリも登場してきている。Linuxや各種UNIX,WindowsなどパソコンOS向けに用意されているWebサーバーなどのTCP/IPアプリケーションのソースを,T-Engine/T-Kernel上でコンパイルしてバイナリを生成するだけで,そのまま動作するようにするものだ。