NXPセミコンダクターズは、2007年12月13日に非接触IC技術に関する説明会を開催、「NFC(near field communications)」に準拠するICを、2008年以降、国内で本格展開すると発表した。
NFCは、13.56MHz帯の周波数を使い、10cm程度のごく近距離で、最大424kビット/秒の通信を実現する無線通信技術である。現在、国内の交通機関や携帯電話機などで採用している「FeliCa」、欧州などで使われている「Mifare(ISO14443A)」、国内の公共機関などで採用しているISO14443Bとも互換性がある。FeliCaやMifareが現行では地域限定型になるのに対して、利用地域やサービス事業者を広げられることがNFCのメリットとなる。
NFCに関して、NXPセミコンダクターズはソニーとの合弁会社モベルサ(Moversa)を2007年11月に設立している。モベルサが提供する「セキュアICチップ」は携帯電話機に搭載することを想定したICであり、フェリカとマイフェアの両OSおよびアプリケーションに対応するだけでなく、ほかの非接触IC技術方式のOSも搭載するという。NXPとソニーは、セキュアICチップと無線通信用ICを組み合わせ、携帯電話機用の非接触ICのプラットフォームとして端末メーカーに提供する。これにより、セキュアICチップと無線通信用ICを搭載した端末は、国内ではFeliCa端末、海外ではMifare端末として動作できるようになる。
説明会に登場したNXPのアジア太平洋ビジネスユニットのJeroen Keunenマーケティングシニアディレクターは、「NFCはFeliCaやMifareの次のステップになる」と説明した。ただし、FeliCaのみ、あるいはMifareのみに対応する地域限定の用途も残るとみており、現行のFeliCaやMifare用のチップを完全な置き換えることにはならないだろうと語っている。モベルサは、2008年にセキュアICチップを発売する予定でで、同社の販売代理店となるNXPはセキュアICチップと無線通信用ICを携帯電話機メーカーなどに売り込む。Keunenシニアディレクターは、両チップを搭載したNFC対応の携帯電話機が、2009年には発売されることを期待しているという。