飲み物のトレイをテーブルに置くASIMO
飲み物のトレイをテーブルに置くASIMO
[画像のクリックで拡大表示]
ワゴンを運ぶこともできる
ワゴンを運ぶこともできる
[画像のクリックで拡大表示]
来訪者は、テーブルの上にあるディスプレイで注文をする
来訪者は、テーブルの上にあるディスプレイで注文をする
[画像のクリックで拡大表示]
仕事がないときには、充電ステーションに戻る
仕事がないときには、充電ステーションに戻る
[画像のクリックで拡大表示]
ASIMOの進行方向に人が歩いてきたときには道を譲る
ASIMOの進行方向に人が歩いてきたときには道を譲る
[画像のクリックで拡大表示]

 本田技研工業は2007年12月11日、同社の青山本社のロビーで2足歩行ロボット「ASIMO」の試験運用を開始すると発表した。ASIMOの役割は、来訪者を案内して、飲み物を運ぶこと。そのために人を認識して道を譲る、飲み物のトレイを持ってテーブルに置く、自動的にバッテリーを充電するといった新機能を搭載した。以前は展示会などでの見せ物でしかなかったロボットが、いよいよ人間と同じ生活空間で働き始めた。

 来訪者を出迎えるために、予約の時間がくると受け付けの前で待機。来訪者が来ると、挨拶をしたうえでテーブルまで誘導する。テーブル上のディスプレイで来訪者が飲み物を選択すると、飲み物を喫茶コーナーからトレイに入れて持ってくる。注文が複数ある場合は飲み物をワゴンに乗せて運ぶ。
 従来は交換式のバッテリーを使っていたが、連続稼動できるように、自動充電機能を搭載した。バッテリーの残量が少なくなったら、自動的に充電ステーションに戻り、立ったまま充電する。充電用の端子は背中に搭載しており、後ろ歩きでステーションに近づき、端子をつなぐ。約1時間半の充電で約1時間の稼動が可能。といっても、仕事が途切れたときには自動的に充電をする仕組みとなっており、数時間の連続稼動を実現している。

忙しいときは2台で協力

 2体のASIMOで協調作業ができるような仕組みも備える。それぞれのASIMOの現在位置、作業をする場所までの距離、バッテリー残量を考慮して、効率よく仕事ができるように、それぞれのASIMOに仕事を割り振る仕組みとなっている。例えば、2つのテーブルから飲み物の注文があった場合は、もう1台のASIMOがワゴンに近づき、飲み物をテーブルに運ぶ作業を手伝う。ASIMO同士はネットワークで接続されており、実際にはパソコンがASIMOに仕事の指示をしている。なお、試験運用をするロビーには、床の各所に銀色のマークが貼り付けられており、ASIMOが赤外線センサーでマークを認知することで、現在位置を把握する。
 人と同じ生活空間で安全に稼動できるように、歩行中に前方から人が歩いてきたら、道を譲る知的能力も搭載した。ASIMOは、進行方向に人が歩いてくるのを検知し、どのように移動するかを予測する。6m程度に近づいたら、体を大きく横にそらして、手を上げて「お先にお通り下さい」と話す。

 試験運用は2008年1月31日まで。今後も改良を続け、2010年をめどに、接客サービスで本格的な稼動を目指すという。

ASHIMOの来訪者をテーブルに案内する、飲み物のトレイを運ぶ、人に道を譲る動作