エンカレッジ・テクノロジは2007年9月20日,Windowsパソコンの操作を映像(動画像)として記録するソフトの新版「ESS REC V4.0」を出荷した。テキスト・データとして記録される通常の操作ログに加えて,画面操作を動画像として録画しておくことで,システム監査や,情報漏えいなど有事の際における問題点の特定などが容易になる。価格は,管理対象となる操作端末1台あたり3万5000円(税別)で,管理サーバーが92万円(税別)から。

 ESS RECは,WindowsのGUI操作記録を動画として録画するソフトである。セキュリティを高めるための運用管理ソフトという位置付け。ソフトウエアの構成要素は,Windowsクライアント上で動作してユーザーの操作を記録するエージェント・ソフト,エージェント・ソフトからネットワーク経由でリアルタイムに動画像を受信して格納するサーバー・ソフト,格納したデータから所望のデータを検索して抽出したり,システム監査用の分析レポートを生成する管理ソフト,など。

 動画像の記録形式は,エンカレッジ・テクノロジの独自形式である。描画命令などではなくビットマップ情報を丸ごと記録する。変更のあった画面データだけを送ることで,転送データ量を「普通の使い方で1秒あたり2Kバイト程度」(同社)に抑えている。これにより,ユーザー1人分,1日あたり8時間記録しても,ユーザー1人の1日分の動画ログのサイズは数10Mバイト程度に抑えられる計算だ。

 動画像データのサイズを削減する具体的な方法は,ユーザーがWindows画面を操作するなどしてビットマップ情報に変更が加えられたタイミングで差分情報だけを送信するというもの。仮に,動画コンテンツを再生している場合など,そもそもビットマップ情報が頻ぱんに更新されてしまっている場合であっても,サンプリングを1秒に1回など低く抑えることで,転送データ量を削減する。

 これに加えて,キーボード操作や,画面に出力された文字列,使ったネットワーク・ポート,稼働プロセス,ファイル操作,USBデバイスの接続と切断といった操作ログもテキスト・データとして並行して記録する。テキスト・ログとして記録されるこうした個々のイベントには時刻情報が含まれているため,同じ時刻情報を持つ動画像と組み合わせることによって,テキストのログをトリガーにした動画の検索と再生が可能になる。文字列検索などによってテキスト・ログ上で何か問題を発見した場合に,そのログが出力されたときのユーザーの操作を,分かりやすく動画として閲覧できるというわけだ。

 エージェント・ソフトの稼働OSは,Windows 2000以降。新版のV4.0では,新たにWindows Vistaでも稼働するようにした。さらに新版では,Citrix Presentation Server向けなど各種のシンクライアント環境向けの版も用意した。