メルー・ネットワークスは12月11日,最大300Mビット/秒で通信できる高速無線LAN仕様であるIEEE 802.11n draft 2.0に準拠した無線LANアクセス・ポイント「AP300」シリーズ3モデルを発表した(写真1)。価格は未定だが,2008年2月の出荷を予定する。
発表したのは,11nで2.4GHz帯と5GHz帯を同時使用できる「AP320」,11nで2.4GHz帯と5GHz帯を排他利用する「AP310」,11nとIEEE 802.11a/b/gを同時使用できる「AP311」の3モデル。11nでは各周波数帯当たり最大300Mビット/秒(3×3 MIMO)で通信できる。いずれもネットワークの総合展示会「Interop Tokyo 2007」に参考展示していた(関連記事)。
2.4GHz帯と5GHz帯で11nを同時使用できるAP320では,1APで最大600Mビット/秒のトラフィックが発生する。同社は11nによる無線LANシステムを想定した無線LANスイッチとして,最上位機「MC5000 Controller」を2007年7月に出荷済み。今後はさらにスケーラビリティの高いコントローラの開発を進める。
無線スイッチにトラフィックが集中する点については,無線LANスイッチを分散配置する「3-Tier Traffic Distribution System」(3TDS)を2008年前半に出荷することでも対処する。制御をつかさどるマスターの無線LANスイッチと,データ転送に特化したディストリビューション・ポイント(DP)を複数配置(写真2)。AP間の通信ではDPを通じてデータを転送し,上位の無線LANスイッチは制御に専念することでシステム全体のスループットを向上させる。
なお802.11nはdraft 2.0でハードウエアの実装に必要な仕様が固まり,ソフトウエア面で詰めの作業が続いている段階。メルーを含め,シスコやアルバネットワークスなどの大手の企業向け無線LAN機器ベンダーは,ソフトウエアのアップデートで最終版の11n準拠を実現できるとしている。
[発表資料]